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魔王様の街づくり!~最強のダンジョンは近代都市~ 作者:月夜 涙(るい)

【創造】のもとに集うものたち

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第十三話:堕天使ラフェロウの新装備

 俺が倒れてから数日経った。
 あの日から、新たな日課ができている。
 朝食後のエンシェント・エルフであるアウラの検診だ。

 アウラは気や魂の扱いに長けているため、傷ついた魂の回復具合を判断することもできる。
 俺の体内をアウラの気が駆け抜けた。アウラ独特の検診方法だ。
 検診が終わり、彼女は頷いた。

「ご主人様、だいぶ良くなりました。これなら【創造】と魔王の力の行使をしても大丈夫です。ただ、【覚醒】はまだ危険です」
「わかった。やっとこれで溜まっていた仕事がこなせる」
「無理はしないでくださいね」
「わかっている。また、ロロノを泣かせるわけにはいかないからな」

【創造】がないと、レアメタルや爆薬の原料となる化学物質が作れない。
 おかげで、ここ数日はスケルトンの兵器工場が稼働停止していた。
 せっかくの労働力を遊ばせてしまった。

 爆薬の原料を【創造】に頼らず入手したいと考えているが、なかなか見つからないし、見つかっても量が少ないうえ混ざりものが多く、使える状態に加工するには専用の設備がいる。その設備を開発、構築して元が取れる量の材料が確保できないため挫折した。

 原始的な黒色火薬程度のものであれば、材料を他の街から入手できるがそれでは性能が低すぎる。
 アヴァロンにとって空爆部隊は切り札の一枚、妥協はできない。

【回復部屋】と黄金リンゴの聖なる気の相乗効果で魔力の回復量は跳ね上がっている。
 これからは、今まで以上に精を出して【創造】し材料をストックするように努力しよう。

「では、今日の分のお薬です。朝と夜、二回に分けて飲んでください。この調子でいけば全快する日も遠くありません」
「助かる」

 アウラから受け取った薬を鞄に詰める。
 手帳を取り出し、今日のスケジュールを確認する。
 今日は領主としての仕事が少ない。これなら魔王としての時間を確保できる。

 魔王の力が戻ったことだし【創造】でレアメタルと化学物質を生み出しスケルトンの兵器工場を再開させ、その後はクイナたちを呼んでラフェロウの同系統2ランク下の魔物を購入して性能評価だ。

 ◇

 予定通り、昼のうちにスケルトン工場を再稼働することができた。工場に火がともり、スケルトンたちが次々に爆薬を作り上げていく。

 度重なるレベルアップとクイナたちの成長のフィードバックによって、俺の魔力総量は大よそ二万まで跳ね上がっていた。
【創造】は生み出した物質の重量(g)の十分の一を消費する。
 つまり、一度に200kgもの重量を生み出せる。

「爆薬の材料のストックに精を出すと決めたばかりだが、こっちはこっちで魅力的だな」

 今なら重量の問題で諦めていた兵器も呼び出せる。
 一度、ロロノと何を【創造】するべきか相談してみよう。

 ロロノの仕事を増やすことになるかもしれないが、俺が【創造】で生み出した物体をロロノが解体し、学び、進化させることで新たなアヴァロンの主力兵器が生み出せるかもしれない。

 200kgと言えば、ミサイル、バイクのような軽車両、いっそのこと大砲なんてものもありだ。……これは楽しそうだ。
 外を見ると太陽が沈みかけていた。

 俺は屋敷で仕事をこなしながら、クイナたちの帰りを待っている。
【転移】の魔力のたかまりを感じる。
 ようやく、帰ってきたか。
 足音が日かづいてくる。

「おとーさん、ただいまなの!」
「がうがう!」

 蒼い体毛の巨大な猟犬ティンダロスことティロに乗ったクイナがやってきた。

「クイナ師匠、早すぎるよ。待ってほしい。だよ」

 しばらくして、息を切らせながら黒い翼の天使、ラフェが入ってくる。

「クイナ、ティロとラフェの狩りは順調か?」

 新入りであるティロとラフェのレベルは低い。
 そのため、クイナの引率のもと毎日【紅蓮窟】でレベル上げが日課だった。
 おかげで、ラフェのレベルは20付近になっている。
 まだまだ低いが固定レベルで生み出されたBランク程度までなら苦もなく倒せるようになった。
 次の【戦争】でもきちんと戦力として数えられる。

「順調なの! ロロノちゃんの作った武器のおかげなの」
「聖上、見損なわないでほしいんだよ。これさえあれば戦えるんだよ」

 どや顔をして大きな胸を反らすラフェの腰には、胸以外は細身のラフェには似つかわしくないごついベルトが巻かれており、紅く輝くクリスタルの刀身だけのナイフが九本装備されていた。
 ナイフが、宙に舞い踊り始める。
 これはロロノがラフェと俺のために作った新武装だ。

「どれだけラフェがドジでも、そいつらは勝手に動くから関係ないだろうな」
「おとーさんの言う通りなの! アゾットが優秀すぎてロロノちゃんの新型手榴弾を使う機会がないくらいなの。遠くの敵は黒光魔術で殲滅して、近くの敵はナイフなの!」

 この九本のナイフたちは、ナイフ形のゴーレムであり思考能力と推進力を持つ。

 四本はラフェの周囲二十メートル以内をテリトリーとし、ラフェが敵とみなせば自動的に襲い掛かる。
 一瞬で音速を超える速度と、刀身に施された【溶断】と【切断】の二重の魔力付与エンチャントの斬れ味によって一撃必殺となる。

 そして、二本はラフェの周囲五メートル以内に待機し、自動迎撃として機能していた。こちらは【結界】と【硬化】の力もち生半可な攻撃はシャットアウトする。

 残りの三本は予備だ。ごついベルトには小型化の代償に出力が低下したツインドライブゴーレムコアが仕込まれており、ベルトに収納されている間はナイフへ魔力の充填を行える。

 三本予備のうち、二本の攻撃用と、一本の防御用を予備であり、抜かれているナイフの魔力が減れば、自動で交代する仕組みとなっている。
 これら、攻撃四本、防御二本、予備三本の合計九本のナイフが一セットで一つの兵器となる。

 ロロノは、この九本のナイフをEDN-02 アゾットと名付けていた。性能がいい上に、とりあえず装備しさえすれば誰でも使いこなせるので、ルル率いる諜報部隊からの支給要請が来ているぐらいだ。

「ガウガウ!!」
「ありがとう。ティロ、しっかりと撮影してくれたようだな。ロロノも実験用データが取れて喜ぶ」

 ティロの首に括り付けられていた小型カメラを外し、映像を空間投影する。
 カメラは、ロロノがアゾットの実戦データを取るためにティロに渡したものだ。
 ラフェの戦いっぷりが記録されていた

 ……これはひどい。
 どや顔のラフェが歩いているだけで、近づいた敵が切り刻まれ、敵の攻撃はすべて防御用のアゾットが防ぐ。
 気が付けば死体の山ができている。
 いくらなんども、この武器は便利過ぎるだろう。

「こんな素敵なものを作ってくれたロロノ先輩には、頭があがらない。だよ」
「本人は、アヴァロン・ジュエルの研究を兼ねていると言っていたな」

 このEDN-02 アゾットはアヴァロン・ジュエルが素材となっている。
 もともとは、俺の護身用に作られた試作機があったが、その設計思想をもとにして新造された。

 オリハルコンを材質としていたときは魔力を貯蔵する性質を持つクイナの尻尾の毛を使っても、ナイフ一本一本の魔力貯蔵量はBランク一体分で出力不足に悩まされ、ベルトでの魔力充填にも時間がかかり不完全な出来だった。

 しかし、アヴァロン・ジュエルはそれらすべての問題を解決した。
 アヴァロン・ジュエルは感情に反応して魔力を生み出す機能を持ち、しかも魔力を貯蔵可能だ。

 それにより、ベルトでの魔力充填がなくともある程度はナイフ単体で魔力を補充できるし、ナイフ一本一本の魔力容量が大幅に上昇し活動時間が増えた。

 EDN-02 アゾットは俺もロロノから手渡され装備している。
 これがあれば、俺自身が戦う羽目になっても、そうそう遅れは取らない。必ずや俺の窮地を救ってくれるだろう。

 ロロノはこれを俺とラフェに手渡すときに、アヴァロン・ジュエルの特性を完全に掴んだと言っていた。
 そのノウハウを生かして作られる、ロロノの新型【機械仕掛けの戦乙女】が楽しみだ。

「でも、ロロノ先輩。練習用にアヴァロン・ジュエルの武器を作る必要があったにしても、なんでわたし用の武器を真っ先に作ってくれたんだろ?」
「九本あっても、薄い刀身だけだからアヴァロン・ジュエルの消費量が少ないし、俺の護身具を作るついでだったとロロノは言うだろうな。……それは建前だ。ドジなラフェのことが心配だから優先した。ああ見えて、ロロノは仲間想いで面倒見がいい」

 ラフェは超威力だが消耗が大きい遠距離魔術【黒光魔術】と、強力ではあるが近接戦闘力がないのに敵を懐に招き入れざるを得ない【聖域構築】が主武装だ。
 ……強敵相手にはこれだけでは厳しい。

 接近戦で使える武器が必要だが、既存の武器はドジで運動神経が悪いラフェには使いこなせない。
 だからこそのEDN-02 アゾットという持ち主の技量が一切必要ない武器が必要だった。
 たとえ、強敵が相手になっても、EDN-02 アゾットと【聖域構築】の組み合わせで迎え打てば遅れはとらない。

「ロロノ先輩にはいつか恩返しをしなきゃ。だよ」

 妙に熱のこもった声で、ラフェが強く宣言する。

「もし、ロロノがピンチになったら救ってやってくれ。あの子がアヴァロンの心臓であることがばれてしまった。狙われやすい立場なんだ」
「わかったよ! 絶対に守るよ。ロロノ先輩の敵はこの手榴弾で吹き飛ばすよ!」

 ちなみに、ラフェ専用手榴弾も完成している。
 ラフェのベルトにはナイフの他に二つだけ手榴弾がぶら下がっていた。
 ロロノいわく、EDN-02 アゾットですら倒せない敵を想定し、極限の広範囲・高威力を追求したということだ。

 筋力のステータスが低いラフェのために、魔力でダメージ判定をする仕掛けもしているらしい。
 ロロノが太鼓判を押す手榴弾。一度、炸裂するところを見たいものだ。

「さあ、おしゃべりはこれまでだ。出発前に言った通り、ラフェと同系統の魔物を生み出す。戦力になるようであれば【渦】も作ろう」
「わーい、仲間ができるよ。だよ」
「厳しい目で見るの!」

 そうして、俺たちは【鉱山】エリアに移動した。
 ラフェの二ランク下の魔物、その名は漆黒鳥ネヴァン。
 しっかりと、その力を見定めよう。
 性能が良好であれば【渦】を購入し、アヴァロンの主力とするのだ。
 アビス・ハウル、暗黒竜グラフロスに漆黒鳥ネヴァンが加われば盤石となるだろう。
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