ママとお姉ちゃんと負け戦
生まれてから4カ月がたち首がすわってきたわけだが如何せん暇だ。暇なんだけど面倒事はノーサンキューって感じなのにあの女神様ときたら『近いうちそっち行くからよろしく―。』っと来たもんだ。しかもよく分かんない勝負の審判役にさせられたし。軽い感じで言ってたから大した事じゃないと思うんだけど勝負内容も理由も秘密っていうのが怖い。絶対にろくでもないことだろ!それに両親には予め行く事を伝えとくって女神様それ所謂神のお告げってことでしょ。間違いなく大事になるじゃん。あー憂鬱だ。そして暇だー。
ジタバタ手足を動かしていると母リーフェが入ってくる。そしてビクトンを抱き上げ床にゆっくりと下ろす。するとリーフェの足元には小さい子供が2人いた。
「ビクトン紹介するわ。あなたのお姉ちゃんたちよ。この子が長女のファーレよ。私に似て魔法が得意なの。ちなみに3歳よ。」
しゃがみながら向かって右手側にいる女の子を示し紹介を始める。プラチナブロンドの髪に綺麗な顔立ち。間違いなく将来はママに似た美人さんになるであろう女の子。しかも3歳で魔法とかすごいのでは?
「で、この子が次女のセヴィーラよ。まだ2歳だけどパパに似て武芸が得意なのよ。」
今度は向かって左手の女の子を紹介してくれる。栗毛に鋭い顔立ち。この子も間違いなく将来は美人だ。長女とは違って凛々しい感じの美人さんになるんだろうなー。それにしても2歳で武芸とかどんだけ才能あるんだよ!この分なら俺も期待していいの?2人の姉を見る限りパパに似てもママに似ても間違いなくイケメン!才能あるイケメンとか人生イージーモードでしょ!来てる!俺の時代が来てるぜ!
とにかく挨拶を返さないとなー。ろくにしゃべれないし、笑顔で手を精一杯振ってこたえるぜ!
すると2人の姉が俺に近づいて来て触れようと手を伸ばしてくる。
うむ。今日は特別だ!このやわ肌ほっぺをぷにぷにツンツンすることを許してあげようではないか。さぁ触っていいのよ?ただし、優しくしてね?
ツンツン。ぺちぺち。つねつね。にぎにぎ。
お姉ちゃんやもうちっと優しく触って欲しいぜ。ママよ笑ってないで助けてたもれ。スキンシップが過激になってきているのだよ。
ファーレお姉ちゃんやいったいどこ触ってんの!?そこはダメーーー!
おいっ、セヴィーラお姉ちゃんなんでそんなに力が強いんだよ!?あなたまだ2歳でしょ!ちょっと痛いんですけど!
視界はお姉ちゃんたちで埋めつくされ蹂躙されているとママの嬉しそうな声が聞こえてくる。
「あらあら、みんな仲良くしてくれてママうれしいわ!ママも混ざりたいわ。」
ママ、助けてくれ!参戦はしないでいいからお姉ちゃんたちを離してくれ!そろそろ泣くぞ!
しかし待てども助けは来ないようだ…。蹂躙は続く。
いいもん!決めたもん!ママが参戦して顔を近づけてきたら耳元でギャン泣きするもん!
えっ、ちょっ、ママ横っ腹こちょこちょするのやめて!
くすぐったいよー!もうそんなことされたら泣けないでしょーーー!
記憶に残る初会合は蹂躙の始まり。待てども助けは来ず戦う術もなし。今日は負け戦。さっきまでの憂鬱な気分は何処かに消え気がつけばおねむの時間。戦いの続きは夢の中で。ママとお姉ちゃんたち今度は俺が勝つからな!
まさか、夢の中でも負けるとは…。