第一回 ビクトンお世話選手権 ~抱っこの部(延長戦)~
逆転はロマンがあるよね。延長からの逆転。サヨナラ満塁ホームランとか素敵やん?
あのサボってばかりの駄目女神が女神らしかったのは本当にいつ以来でしょうか。かれこれ数百年は間違いなく駄目な方だったはずです。そんな方が女神らしく振舞った瞬間これですから。本当にビクトンには感謝ですね。あの女神には良い薬でしょう。それにしてもいつまで抱っこしているつもりでしょうか。ここは勝者たる私に譲るべきだと思います。皆さんもそう思いませんか?
って誰に語り掛けているのやら。これほどまでに嬉しい勝利は久しくなかったので流石に浮かれているようです。ですが、やはり敗者に抱かれるよりは勝者に抱かれたいでしょうからビクトンのためにも交代してきましょう。
「女神よ。敗者は敗者らしく勝者たる私にビクトンを渡していただけますか?」
これは挑発でもいやがらせでもないのです!そうビクトンは私に抱っこされるべきなのです!
『嫌よ!せめてビクトンの口から感想を聞くまでは渡さないわ!それにまだツンツンもスリスリもましてやちゅーだってしてないのよ!ビクトンが起きるまで待ってちょうだい!』
嫌々と首を振り奪われないよう隠すように抱きかかえる女神様。
「それは無理な相談ですね。やはり目覚めるなら最高の目覚めをプレゼントするべきでしょう。そして目覚めた後に再度抱っこし感想を言ってもらえば済むことです。どちらにせよ女神の負けは確定しているのですから。あきらめて大人しく渡しなさい。」
少しずつ腰を落としながら戦闘態勢に移行する戦乙女。ゆっくりと後退りながら逃げる準備をする女神様。規定外の延長戦のスタートである。
先に動いたのは女神様。思い切り反転し一気に逃走を図る。しかしそれを許すほど甘くはない戦乙女。どこからか槍を取り出し女神様に向けて投擲する。放たれた槍は女神様の腰のあたりをめがけまっすぐに飛んでいく。だが戦乙女の動きを感知していた女神様は飛翔しその槍を回避する。
「甘い!」
飛び上がる一瞬、前から上へ力が切り替わるその一瞬を見逃すはずもなく距離を詰める戦乙女。既に宙へ舞っている女神様の足へと手は伸びていきその足をつかみそのまま大地へと叩きつける。
『痛いわね!この馬鹿力!無駄巨乳!ビクトンが怪我をしたらどうするつもり!胸にばっかり栄養が行ってるんじゃないの!』
叩きつけられながらもビクトンを離さない女神様。痛みをこらえつつ戦乙女への文句を言い放つ。
「女神よ、戦乙女たる私を舐めないでください。ビクトンが怪我をするような攻撃を行うことなどありえません。今のも女神にだけ衝撃が行くようにしていますから。さぁいい加減に…」
“なんかバタバタとうるさいです!あれ、女神様おはようございます。申し訳ありません眠ってしまっていたようです。なんだか眠るまでは夢心地だったのにあまりすっきりとしない目覚めです。どうして女神様は地面に横たわっているのでしょうか?それになんだか剣呑な空気です。”
「申し訳ありません。ビクトン。この駄目女神の駄目抱っこではやはり目覚めも悪くなるでしょう。私が抱っこしますので夢心地を堪能してから次の勝負へと行きましょう。そうそう、聞くまでもありませんが念のために。どちらが良かったでしょうか?」
“そうですね。戦乙女様で!女神様には申し訳ありませんが…。”
「そういうわけで抱っこは私の勝利!ということで。では少し休んでから次に行きましょう。ビクトンは私の腕の中で夢心地を味わいながら次への英気を養ってください。」
“戦乙女様、ありがとうございます。”
んーーー、それにしても寝ている間に何があったんだろう?女神様は死んだように大の字で横たわったままだし。ふわぁ、、、。むぅ、また眠くなってきた…。起きてから考えよう…。おやすみなさい。




