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不可視の重さ

昨日女神様と戦乙女様から武器と防具をプレゼントするとの嬉しい連絡があった。とりあえず、定番の一番いいやつを頼んどいたよ。だって仕方ないだろ?『神様からそんな装備で大丈夫か?』なんて問われたら一番いいやつを頼む。としか言えないでしょ!防具の色は黒を希望して、武器は槍と剣ってことだったから某青い兄貴が持っているようなシンプルな赤い槍にしてもらい、剣から刀へ変更してもらったんだ。もちろん、夢の『なぎはらえ!』ってできるようなやつをお願いしといた!


最近は酷い連絡しか来なかったけど、さすが神様!嬉しいことをしてくれるぜ!最高だよ!どんな装備なんだろう。楽しみだ。


嬉しさのあまりベットでゴロゴロと転がりながらキャッキャウフフとしているビクトン。


そのころ神界ではプレゼントの準備の真っただ中であった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『これで綺麗になったわ!』


仕事もこれぐらい一生懸命にやってくれればいいのに、と思えるほど真剣にそして真摯に鎧を磨く。女神の目の前には黒くそして眩いばかりに輝く鎧がある。


『鎧はこれでOKね!私のお古だけどしょうがないよね。一番いいやつってことだったし。それでは、本命に取り掛かりましょう!』


もぞもぞと脱ぎだす女神。時折、『あれっ、脱げないわ』やら『ふぬぬ』やら言いながら脱いでいく。そして用意しておいた型紙を当てながら布をちょきちょきと切っていく。


『ちょきちょきってなものよね。戦乙女には悪いけど差をつけさせてもらうわ。ビクトンもいずれ冒険に行くでしょう。冒険の必需品の外套を贈るのよ!雨風を防ぎ、寝るときには温もりを与えることのできるそんな外套よ!愛に包まれて眠れるという素晴らしい一品を作り上げるのよ!』


切り終わると今度は自身の髪を抜いていく。何本も抜いては『あっ、これは駄目ね。』やら『こっちは良さそうね。』やら言いながら選別をしていく。選別が終わると今度は針に糸のごとく通し切り出したものを縫い合わせていく。


『チクチク~♪縫い縫い~♪あとは加護をつけて、はい!完成!さしずめ女神からの愛の外套ってところかしら♪』


生まれたままの姿で外套を抱きしめる女神。だらしない笑顔を零し自身の世界へと沈んでいくのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「意外と簡単に決まりましたね。時間が余ってしまいました。折角ですし先ほど買った雑誌でも読んでみましょう。」


買ったばかりの雑誌『恋人に贈るはじめてのプレゼント』を読んでいく。そしてある程度読んだところでページをめくる手を止め二度三度と読み返す。


「なるほど。手作りのプレゼントですか。そしておすすめは日常的に使うものですね。となればアレしかないでしょう!」


おもむろに脱ぎだす戦乙女。『ん、引っかかりますね。』やら『また大きくなっているようですね。』やら言いながら脱いでいく。


「よく男神が私の衣服を狙っていますしこの布には何かしら異性にしかわからない魅力があるのでしょう。これを使えばビクトンも喜んでくれるはずです。」



そして今度は自身の美しい銀翼から羽を毟っていく。毟った羽を見ては「これは汚れていますね。」やら「これは良さそうです。」とつぶやきながら羽を選別していく。


「羽はこんなものでしょう。あとは髪を糸の代わりにして縫っていくだけです。それにしてもなぜ男神たちはこのような羽や髪を欲しがるのでしょうか。」


チクチクとひたすら縫っていく。そして出来上がったのは羽毛寝袋。


「やはり日常的に使うものと言えば寝袋でしょう。質の良い睡眠をとらねば集中力にもさが出てきます。やはり戦をするうえで兵糧や休息はとても大切ですからね。」


大切そうに寝袋を抱えながら頬を緩める戦乙女。思い描くは明日の勝利とビクトンの喜ぶ姿。


とうとう明日は勝負の日。三者三様の最終日であった。




そういえば、髪の毛入りのおはぎを渡されたときは怖かったなぁ・・・。

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