女神たちの各策
真っ白な空間でただ木製の椅子と机があり、山のようにある書類を片付けながら女神は提案をする。
『ねぇ、戦乙女。提案なんだけどビクトンにプレゼントを用意しない?』
「唐突ですね。女神よ。あっ、そこの綴り間違えていますよ。」
『えっ、本当ね…。ともかく、私たちの勝負を手伝ってもらうわけだしちょっとしたご褒美をあげてもいいのではなくて?』
書き間違えた書類をくしゃくしゃと丸め後ろへ放り投げる。そして新たに紙を用意し作業を続けていく。
「女神、投げ捨てるのはよくないです。ごみ箱へちゃんと捨ててください。だから部屋が汚いのですよ。」
ごみを片付けながら戦乙女が注意する。しかし注意された側は頬を膨らませながらペンを机へ放り投げ仕事放棄の姿勢。
『今は別にいいでしょ。そんなことよりも反対なの?』
誰かに比べ貧相な胸を持ち上げるように腕を組みなが睨みつけるように問いかける。
「いえ、賛成です。しかし何を贈りますか?男の子ですし武器や防具あたりでしょうか?」
『良いわね!それでいきましょう!防具は私が用意するわ!あなたは武器をお願いね!』
机を割る勢いでたたき、そして椅子をふっとばして勢いよく立ちあがる。机を叩いた衝撃でインク瓶が倒れ書類に染みを作っていくが気にした様子はない。気持ちは既に防具へと向かっている。
『そうと決まれば早速ビクトンに確認よ!』
「まだ、仕事が終わってません!」
戦乙女がいうよりも早く風のように走り去っていく女神。そして残された戦乙女は粛々と片づけをしていく。
「気もそぞろなのは大概にしてもらいたいものです。ですがあともう少しの辛抱でしょう。本当にビクトンには感謝しなくては行けませんね。」
腕を組み無駄にたわわな胸を持ち上げながら顎へ手をあて考え込む。
「剣か槍にすべきか。はたまた両方か。ともかく私もビクトンに確認しましょう。やはりそれなりのものを贈るべきでしょうね。しかし、殿方にプレゼントを贈るのは初めてです。せっかくですし奮発するのもありですね。」
普段であれば口を結び眉を顰めるところだが恋する乙女のように笑みをもらし片づけをしていく。些細なようで大きな変化。見ているものはおらず、気づくものもいない。
「ビクトン、いくつか質問したいのですが大丈夫でしょうか?」
緩みそうになる頬を引き締め希望を聞いていく姿は乙女のようだった。
勝負の日まで後2日。