欠片の恋(中編)
「じゃあ、今度のお出かけは遊園地だね」
「あそこなら近いし、集合は、うーん、9時でいいか」
「りょーかい! 樹もそれでいいー?」
「……一つ聞くが」
「なんだよ」
「なんで俺まで行くことになってんだ……!!!」
樹はどう考えてもおかしいと、前を行く二人に訴えかけたが、全く聞いていない。
現在、前にカップル、後ろに樹で、三人仲良く歩いているわけだが、それだけでもう樹には目の毒だ。いちいち可愛い顔ではにかむ奈津が、今はちょっと憎たらしい。
「だって、遊園地は大人数でいくほうが絶対楽しいじゃん」
「そうそう、奈津の言うとおり。それに、最近は三人で帰るのもご無沙汰してたし」
悠人と奈津に続けざまにそういわれるが、いやなものは嫌だ。そもそも、なにが悲しくて好きな子と親友がいちゃつくのを見なければいけないのだろうか。くっつける手伝いをしたのは樹自身とはいえ、慣れっこだとはいえ、さすがに、痛い。
「俺たちが誘っても、樹が嫌がるし」
「水臭いこと言わないでって、言ってるのにねぇ」
水臭いことなんか一つもない、見てられないから、頼むから二人で帰ってくれというのに二人は全く聞かない。聞いて、くれない。
「だから、今回のお出かけは、強制参加だからね!」
「待ち合わせに来なくても、ちゃーんと俺らが迎えに行ってやるからな」
いたずらな子供みたいな顔を、二人が見合わせる。それだけのことが、どれだけ樹の心を穿つか、気付きもせず。
優しい二人は、時々すごく残酷で、卑怯で、冷たい。
だけどそれにももう慣れっこだ。ぶち壊してやりたいと叫ぶ心を封じ込めて、笑顔を作ることにも。
「そんなことされなくたって、ちゃんといくっつーの」
――胸が、痛い。




