内政編
このあたりになると書くことよりも各人の好みが出るので、少し視点をそらした形で話を勧めようと思う。
ようするに何の為に内政をするかだ。
当たり前の話だが、何をするにしても資金がいる訳で、その為に内政をするというのが基本になる。
で、ここからがやっかいなのだが、資金を作る為の金のなる木には勝手に人が寄ってくる。
その排除に対策費用を用意する為に更に金策に走り……大体こんな感じとなる。
そんなこんなで、金策に走り続けて商人エンドってのが内政チート物の一つの終わり方なのだが、今回は仮想戦記なのでこの金策については紙面比率を下げないといけない。
どうしてかというと、内政シーンで紙面を使っていると話が勝手に商人エンドに走っちゃうからだ。
それはこんな理由である。
金を稼いだ結果色々ろくでもない人が集まってくる。
それを排除する武力を確保して金策に走る。
で、ここで気づく訳だ。
「正当性のある武家の保護下で上納金払っておけばよくね?」
と。
これはこれで正しい終わり方なのが困る。
とはいえ、仮想戦記の講座で内政チートエンドを推奨しても仕方ないので、内政チートから仮想戦記に話を切り替えるこつや条件を語っていこう。
繰り返しになるが、最初の内政チートは問題がない。
問題となるのは金のなる木に誰がよってくるかである。
結論から言ってしまおう。
金のなる木に寄ってくる連中を同業他者、つまりご近所の武家にしてしまえばいい。
金をかけて土地を開墾したら隣の家が兵を率いて「その開墾地よこせ!」と。
こまった事にこれかなり実例があるから困る(苦笑)。
その武家に対抗する為に兵を集めて……こうして合戦方向に持っていったら仮想戦記ルートに話が進めるはすである。
で、その初期の脅迫を回避したい場合はどうするかというと金融物流面に特化するのが一番楽である。
武家はどうしても土地に縛られるからだ。
それに対して銭は何処にでも行けるし、何処にでも逃げられる。
『大友の姫巫女』ではこれを使って銭を稼ぎに稼ぎまくった。
なお、去年のIFCONにて「鉱業、物流、金融に特化した財閥みたい」との感想をいただいたが、学生時代四国にいた事が大きかったりする。
つまり、別子銅山がらみの住友、岩崎家がらみの三菱の資料が大学図書館に寄贈されていて、それを涎をたらして読んでいたと。
内政チートを目指すならば、三菱・三井・住友の各財閥形成史は知っていて損はない。
あと、金のなる木の本数だが、これは片手を越える数作ってはいけない。管理できなくなるからだ。
管理を任せる所は人材を用意して任せるべし。
その為、『絶対に手放してはいけない金のなる木』と『人に任せても良い金のなる木』は区別するべし。
『大友の姫巫女』の場合、筑豊炭田は地元任せ、物流も南蛮船は安宅冬康、遊郭管理も麟姉などの任せられる人に任せている。
珠姫直轄事業というのは彼女しかできない金融事業だけなのだ。
まあ、うちの話では鉱業や物流は既に信長あたりに目をつけられているし、遊郭あたりも秀吉あたりのフラグになっている。
これらはいざとなったら撤退も構わない形で話を作っていたりする。
だけど、金融、特に現代金融商品だけは珠姫の頭にしかないからこれを奪うことが誰もできない。
こうやって、『大友の姫巫女 南海死闘編』の木崎原合戦で巨万の富を作り上げたので、後の資金面について気にしなくてよくなったとこの話を書き終えてから気付いたのはないしょ。
初心者は先に終わりを想定しても、話がキャラが勝手に暴走してこちらの予想し得ない方向に行ってしまう事がまれによくある(笑)。
特に内政話はそれだけでファンがつくネタなので、
「このまま内政話にしても……」
なんて誘惑はほぼ確実にやってくる。
だから、架空戦記を書くのならば、それに合わせた動機(敵)を作る必要があり、その動機が金というのはある意味王道だったりするのだ。
ここできちんと話をぶらさずに合戦に持っていける人は簡単に初心者を卒業できるだろう。
え?私?言わせるなよはずかしい……(目をそらしつつ)




