終わらせ方編
今回は架空戦記を書くにあたって、その終わらせ方を最初に決めておこうという話。
着地点を用意しておかないと大体途中で迷子になるのでこれ大事。
行き当たりばったりで始めると確実に迷子になります。
経験者が言っているから間違いがありません(笑)
で、戦国架空戦記は基本終わり方に四つのパターンがある。
パターン1 国人衆から国持大名エンド
おらが村の御領主様が国持大名になって終わるパターン。
合戦規模が百人から千人規模で一番好き勝手できるのがこれ。
架空世界で内政物だと案外このくらいの規模が多かったりする。
これのメリットは何よりも自由度。
規模が小さいという事は、武力ツエーでも勝敗が決められるので、山場の作り易さが違う。
また、実際の地方でやる場合でもまず知っている人間が少ないからかなり好き勝手できる。
で、デメリットは資料を集めようとしたらまず地元歴史資料館あたりに駆け込まないと集まらない。
ぶっちゃけると、好き勝手できる=誰も知らないと心得るべし。
そして、国持大名で終わる場合、その上(信長秀吉家康)などの付き合いをさらりとでいいから出しておくべし。
一代で成って滅ぶのもいやでしょ。
パターン2 国持大名から複数国所有の戦国大名エンド
別名『信長の野望』スタートともいう。
要するに日向国伊東家あたりの大名スタートで、他の国を征服して戦国大名になりましょうというエンド。
メリットとして、読者が一番理解しやすい大きさで、合戦規模が千人から万人規模と派手になりやすい。
そして、深く調べないならば『信長の野望』関連書籍で十分な所。
第四次川中島合戦や川越夜戦、厳島合戦みたいな派手な戦で終わりをつけられるのもこのケースだったり。
デメリットとして、このパターンは深く調べだしたら底が無い。
私の『大友の姫巫女』もこのパターンなのだが、ある程度の大名家は結構資料が残っているのだ。
だから、探り出したらどこまでも潜れてしまうというは資料集めでエターという可能性が凄く高くなる。
更に、この規模になると家臣団の統制に確実に問題がでる。
ぶっちゃけると内部分裂や謀反ってやつ。
このクラスの大名家は一門・譜代・外様の国人衆権力抗争が常態化しているし、動向も気にしなければならない。
国人衆を書くか書かないかで、このパターンの難易度は変わる。
もちろん書かない方が楽だ。
そして、このクラスだと確実に信長秀吉家康という天下人達の介入が来る。
うかつにも貴方が書く大名家が畿内だった場合、頼まれなくてもやってくる。
だからこそ、彼らとどうお付き合いをするかは絶対に頭に入れておくべし。
パターン3 複数国保持の戦国大名が天下人になる為の大規模合戦エンド
最後は戦国大名が天下人を目指すある意味物語の王道パターン。
実は書籍系の話がこれが一番多いので、私は関が原エンドと勝手に名づけている。
書籍である徳川VS豊臣なんてのもこの亜種と定義しているわけだ。
このメリットはとにかく役者が豊富。
信長秀吉家康などの天下人を敵なり味方なりで使えるから、話が作りやすいのだ。
大物俳優を起用するだけで話が引き締まるのと同じで、彼ら天下人は超一流のトップスターである。
出てきただけで観客を魅了するからどんどん出してあげよう。
デメリットはその役者を使うシナリオ、つまり我々作者の腕になる。
どんなに素材が良くても、料理人がへぼかったらおいしい料理ができないのと同じ。
大物スターを出すならば、それに相応しいシナリオを用意すべし。
パターン4 大名家以外のエンド
これは、戦国大名じゃないたとえば商人とか海賊とか茶人とか剣豪の終わり方。
『太閤立志伝』エンドともいう。
内政ものを極めたるとなりやすかったりする。
メリットは合戦などの描写を必要ないならば書かなくてもいい点。
己のスキルや趣味を極めた結果、その時代を駆け抜けましたというある種のかっこ良さを醸し出せる。
デメリットは、そもそもこのエンド自体が難しい点。
要するに、主人公が天下統一という大河ドラマの中で脇役であるという事を自覚しないといけないので、目立たず、かといって無視されずを意識しないといけないのだ。
そして、このエンドこそ天下人との付き合いが超大事になる。
史実における具体例を出せば納得してもらえるだろう。
茶聖 千利休 その人である。
大体こんな感じで終わり方を考えておく。
他にも終わり方があるのかもしれないが、とりあえず終わり方の方向だけは決めておこう。
私?
書き出した時はそこまで考えていなかったので……(遠い目)