大好きサンタさん
ある所に、なおちゃんという女の子が住んでいました。
なおちゃんのお家は、とてもお金持ちです。
今日はとても寒い日で、空から雪が降っていました。
小学校に行ったなおちゃんは、友達とお話しています。
「サンタさんっていないんだぜー!」
「本当はおとーさんおかーさんがプレゼントくれるんだぜー」
「そんなことないよー」
「サンタさんいるよー」
そんな話を聞いて、なおちゃんは思いました。
そういえば、私のお家にサンタさん来たことないわ!!
なおちゃんはクリスマスになると、欲しいものはたくさん買ってもらえたのでサンタさんにお願いしたことがなかったのです。
「サンタさんって、プレゼントくれる人でしょ?」
「そうだよ。なおちゃんしらないの?」
「だからー、それはおとーさんとかなんたってばー」
真実を知ってしまった男の子が、それを自慢気に言います。
それを聞いて、なのちゃんが言います。
「本当にいるんなら、今度パーティーにご招待しないと!!」
聞くと、サンタさんは世界中の子供たちにプレゼントを配っているそうです。
だったら、今年はお休みして私の家のパーティーに招待してあげようとしたのです。
それを聞いて、みんなはびっくり。
「サンタさんはいないんだから、呼べるわけないよ!!」
「サンタさんがお休みしちゃったら、プレゼントもらえいないよー」
信じている子も信じない子も、どちらも無理だよ、やめようよ、と言います。
でも、なおちゃんは諦めません。
「だったら今年は私がサンタさんをやるわ!!それなら休んで大丈夫でしょ?」
「それに、私ならどこにいてもサンタさんを見つけられるわ!!」
早速その日、お家に帰ると爺やになおちゃんは聞きます。
「爺や!サンタさんってどこにいるの!?」
爺やは今までも、直ちゃんの質問にたくさん答えてくれました。
爺やが知らないことなんてないと、なおちゃんは知っています。
だから、爺やは今度も答えてくれます。
「サンタクロースと言うのは、遠くの冬の国に住んでいるのですよ」
それを聞いて、次のお休みになおちゃんは冬の国に行きました。
とても寒い中を爺やと一緒に行って、サンタさんに会いました。
「サンタさん!今年はお休みして、パーティーにいらっしゃい!」
「おやおや、ありがとう。でもね、私は今年の仕事は休めないんだ」
しょんぼりして帰ってしまうなおちゃん。
どうすればいいかと爺やに聞くと、夏の国にお休みしているサンタさんがいるかもしれない、と答えてくれました。
「交代制なのね!」
そうして、次のお休みに夏の国に行きました。
爺やも一緒です。
熱い中、日差しの下にサンタさんを見つけました。
「サンタさん!お休みは家のパーティーにご招待するわ!」
「おやおや、ありがとう。でも、クリスマスには仕事に戻らないといけないんだ」
しょんぼりするなおちゃん。
それから休みになるとなおちゃんはいろんなサンタさんに会いに行きましたが、みんなに断られてしまうのでした。
もう明日はクリスマス。
お友達も呼んでいるのに、サンタさんは一人も来てくれません。
「世界中に配るのは大変なのはわかるわ。だから何人かいるのもわかる。でも、一人くらいお休みしてもいいんじゃない?」
「それはダメなのですよ。お嬢様」
暖炉の前でココアを飲むなおちゃんに、爺やが答えてくれました。
「もしも一人でも休んでしまうとその分、子どもにプレゼントが配れなくなってしまうのです」
「でも、それは私が手伝うわ」
「いくらお嬢様でも、それはできませんよ」
ニッコリと笑って、頭を撫でてくれます。
「プレゼントを渡すのはサンタさんの楽しみなのです。だから、そのお仕事をやりたがらないサンタさんなんていないんですよ」
「楽しみ?」
「そうです。それを取り上げたら、いけませんよ」
「そう・・・・それならしょうがないわ」
わからないことのない爺やがそう言うなら、きっとそうなのでしょう。
パーティーではみんなに謝らないといけません。
そして、次の日
皆が集まってくれました。
今日は楽しいパーティーです。
でも、その前になおちゃんはガッカリの報告をしないといけません。
みんなにご挨拶して、マイクを持って、なおちゃんが口を開きます。
「みんなーー!今日はね・・・・サンタさん来てくれないの」
「えぇー?」
残念そうな声。
なおちゃんは泣いてしまいそうです。
「サンタさんだ!!!」
そんななおちゃんの耳に、友達の声がしました。
顔を上げると、そこには赤い服に、真っ白なお髭を生やしたサンタさんが。
「ほっほっほ!メリークリスマス!!」
みんな、サンタさんに飛び込んでプレゼントをもらいます。
欲しいモノを言うと、袋から何でも出てきました。
でも、なおちゃんは行きません。
だって、それは爺やだったのですから。
サンタさんの恰好をした、爺やでした。
ずっと一緒にいたなおちゃんにはそれがすぐにわかりました。
パーティーが終わると、爺やに聞きます。
「サンタさんは、爺やなの?」
「いいえ。私だけではないですよ」
爺やは答えます。
みんなのお家でプレゼントを枕元に置いていくのは、みんなのお父さん、お母さんなのだと。
「じゃあ、じゃあ、やっぱりサンタさんはいないんだ・・・・」
「何を言っているのです。サンタさんはいるじゃないですか」
そう言って、爺やはなおちゃんを抱きしめます。
「クリスマスにプレゼントを配るのがサンタさん。だったら、みんなのお父さん、お母さんもサンタさんなんじゃないですか?」
「・・・・そうなの?」
「ええ。自分の子供が朝起きて、驚いて、喜んで、笑顔になるところを見たいのです。だから、サンタさんはいなくならないし、そのお仕事をやめません」
なおちゃんは、知りました。
「サンタさんはお父さん、お母さん」じゃなかったのです。
「お父さん、お母さんがサンタさん」だったのです。
なおちゃんはお父さん、お母さんに飛びつきました。
「ありがとう!!」
朝起きると、そこにはなおちゃんが欲しかったお人形がありました。
サンタさんからのプレゼントです。
「よかったわね、なおちゃん」
「おぉ、サンタさん来てくれたのか」
お父さん、お母さんにお人形を見せると、二人は笑ってくれました。
そして、なおちゃんはとびっきりの笑顔でこういうのでした。
「私、サンタさん大好き!!!」