鬼灯
纏わりつくような
闇の中に
いくつも
いくつも
流れてゆく
ほんのりと
ふんわりと
異形なるモノの影を
落とす
その、人在らざる何か
その、何モノでもない何か
彼らのための灯である
月は満ちる
帳が下りる
深淵たる闇は、
人工なる明かりを跳ね退ける
幽遠でなお点るは、
燐の炎と鬼の灯
蒼い炎はりんと輝き
朱い灯はほうと瞬く
異形たるモノの姿は、
闇に揺らめき
いつかに消えゆ
彼らの列の中で
朱き灯は確かな存在を示しながら、
けれど
決して捉えられぬままに
宵闇の底に消えてゆく