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深詠子無言の帰宅6

 棺にある小さい窓のような扉を閉めて、磨美に云われて静かに頷いた。

「もっと言うと、真苗ちゃんよりこの子の方が深詠子に似てるでしょう」

「だから一緒にったのか」

 傍で聴いた可奈子も、棺の小さな窓を開けて真澄と呼ばれた女の子を見た。そこへ葬儀社の人が、処理が終わりこれからご遺体はどちらに安置されるか問われた。磨美は本人の自宅に仮安置して親族が着き次第また指定する事にした。深詠子の棺はみんなで運び、小さい子供の棺は職員だけで車に載せた。タクシーで来た二人は、磨美の車に誘われて後部座席に乗った。磨美の車が駐車場を出ると署前に待機していた深詠子を載せた葬儀社の車が後に続いた。

「それで下村の親族はいつ来るんだ」

「舞鶴から特急だと一時間半掛かる。電話してから支度して自宅から此処までだと三時間、遅くても四時間以内には着くでしょう」

「四時間だと、それじゃあ九州から飛行機で来るお兄さんと変わらないなあ」

「舞鶴ってそんなに掛かるの」と可奈子が驚いた。

「だって特急電車より飛行機の方が乗ってる時間は短い。それより葬儀社の話だと今晩お通夜で明日、葬式になるのか」

「決めるのは親族だけど、そうなるわね」

「じゃあこのまま自宅でなく、葬儀社の経営する葬祭ホールに行った方が良いだろう」

「まあそうだけれど。向こうの親族にも色々と葬式のやり方があるでしょう」

 電話では自宅で葬儀をするより、葬祭ホールでする方が、ご近所の目も届かないし密葬に近い形で、野辺送りが出来ると説明した。それでもハッキリしたことは、深詠子の自宅に着いてから決めると云う話になった。

「他人の葬儀をあたし達が勝手に決められないけど、今の状況ではそれしか方法がないわね。おそらくあとは到着した親族の同意を待つだけだと思う」

 それよりどうして真苗ちゃんを一緒に連れてこなかったのか追究された。慌ただしすぎて深詠子さんの安置する場所が決まった段階で、お母さんとゆっくりと対面させるべきだと可奈子が云った。

「じゃあ、あの子は今どこに居るの?」

「ご心配無く、あたしの家で両親があやしていて、おとなしくしているわよ」

 警察署から深詠子は無言で自宅に戻った。


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