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藤波の店5

「今日は珍しいなあ源さん、もう五年も経ってるのに今更おやっさんの話をしてもしゃあないやろう」

「いや今日は珍しく店、開けっのんが遅かったさかい、おやっさんに代わって説教せなあかんやろう」

「そらたまにはあるやろう。別にパチンコ屋やないさかい開店時間はきちっと決まってないがなァ。それより今日の贔屓のチームはええ勝負してるで」

 そうか、と九回裏一点差で勝っとると、源さんもテレビを見入ったが、そこで野球放送は時間切れになった。

 どうやら最終回で負けてるチームが満塁の押せ押せムードで放送が終わった。チャンネルを回して一通り見たが、コマーシャルばかりでまたニュースに代わった。ニュースはさっき他の放送局がやった一家心中事件をやっていた。

「この時間のニュース番組は何処もこれやなあ」

「しゃあないわなあ、ここ最近ショッキングなニュースがなかったさかい」

「そやなあ、川や海で溺れ死んだニュース番組ばかりをやってたなあ」

「また今朝、放送した現場の家が写ってる」

「あのニュースで、彼は実業家としては真面かも知れんが、自分を見る目がない、生き方が幼稚すぎたんや、今まで築いたものしか見えへんさかい、知らへんさかい一家心中しか選べんかったんやろう」

「そやかて、挫折を繰り返して本懐を遂げる奴もいるやろう」

「そやけどなあ、己の築いた世界にしか没頭できんやつが失敗したら惨めやでぇ」

 エッ! と藤波は驚いた。このじいさんたちは一体なんなのだ。あのニュースからこれだけの話題が飛び出してくるか。

「あんたは、わしらの酒の談義を真面に聞いてくれるけど、全てはあのニュースの男の事やとは限らんで。今、話たんは、わしらが長い過去から見た世間話や、これからも通用するとは限らん。なんせ世間は変わり続けるさかいな。そやけど人間の本質は変わらん」

 真面な源さんまで可怪おかしな話をし始めた。



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