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父の店2

 南西に数百メートル歩けば祇園花見小路で、その辺りは日付が変わる深夜でも人通りは多く、タクシーも頻繁に流している。此処は祇園の場末になり、接待や待ち合わせで祇園花見小路へ行く通り道だ。夜遅く十一時を過ぎると客足が遠退き、いつも十二時には店を閉めて暖簾を下げる。翌日は午後の三時頃から準備を始める。独身で借家でなければ贅沢をしなければそれでやっていける。常連客も十数人居て、日曜の定休日以外は毎日四、五人は来て売り上げに貢献してくれる。常連客に言わすと、なんぼ辺鄙へんぴでも祇園近くでこんな料金で呑める店はなかった。接待には向いてないが呑むだけなら、要するにそこそこの客で毎日埋まっていた。親父が手放さずに息子に託したのもその辺にあった。

 この日の常連客は四人で、やっさんと呼ばれる人は近所でなく、帰りの電車をいつも気にしながら呑んでいた。後の三人は還暦を超えて、その内の長老は八十を超えてると噂だ。やっさんが長老に代わって、バイデン大統領もあれでちゃんとやっている。いつも歳を言われるとみんな同じやとやり返していた。

「そうは言うてもやっさん、大統領に近いのは歳だけで後は雲泥の差やでえ」

 と源さんと呼ばれるじいさんがやっさんを比喩していた。

 そこでみんな一緒やと笑いを誘った。残りも七十前後だから彼らに言わすと三十二歳の藤波は孫のようなもんだ。彼らにはもう歳より、残った人生をいかに有意義に過ごすか、その為に此処へ酒を呑みに来ている。


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