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谷を渡る雲3

 そこでまたニュース番組にヒットして二人は見入った。殺された女の顔写真が写った。

「あっ! 深詠子や、間違いない。テレビ消してくれ。どうやらそこから逃げてきたらしい。あとはこの子に聞いてみよう」

「手紙に書いてないの」

「ウ~ん。メモの内容を聞いてもこの子にはまだ分からん。それよりあのニュースはこの子が一番詳しそうや」

 藤波は先ほどから黙ってカウンター前で、まだ足のつかない丸椅子に座ってる子に訊けと催促した。可奈子が椅子の前にしゃがんで真苗を見て「あのニュースやけど、真苗ちゃんはあの家に居たん?」

 目の高さに合わされて真苗の目元が緩んだ。

「二階の自分の部屋に居た。そしたら下でお父ちゃんとお母ちゃんが大きな声で怒鳴ってた」

「夫婦喧嘩か、ようするの ?」

 ウンと頷いた。

「でもこの日はいつもより騒がしかった、そしたら急に静かになった」

「それでどないしたん?」 

「お母ちゃんが血だらけになって内の部屋へ来て、ここへ行きとゆうて封筒渡されたぁ。それから下を見たら妹と弟が逃げ回ってたぁ。けど静かになったらお父ちゃんが二階へ上がって来たん。そしてお前もわしと一緒に死んでくれって言われてぇ、嫌やって言うてお父ちゃんにぶつかったらお父ちゃんは下まで落ちたん」

「それでどうしたん?」

「そのまま動かんさかい、下へ降りて跨いだら向こうで妹が目剥いて倒れてたぁ。揺さぶっても起きひんさかい、玄関に行ったら、今度は弟もおんなじ。そのうちお父ちゃんが起き出してぇ、慌てて飛び出したんやぁ」

 途切れ途切れに何度か聞き直しながら、やっと真苗ちゃんからこれだけ聞き出せた。それとテレビニュースの情報から、喧嘩がこじれて衝動的かどうか判らんが無理心中を図ったようだ。


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