事件の闇に挑む2
長男の孝史はまだ事件に気付かず、気が付けば下村によって追い詰められて首を絞められた。次に父の異変に気付いて逃げ回る美澄ちゃんは、中々捕まえられなかった。やっと玄関近くのダイニングで、テーブルの下を這い回るところを、捕まえて首を絞めた。美澄ちゃんが時間を作ってくれたお陰で、深詠子は這いながらも二階の真苗の部屋に辿り着けた。
残ったのは二階に居る真苗だけだ。特に真苗には個室が与えられている。真苗の部屋は洋室で二階に上がりきった所にドアがある。入り口のドアは一つで、窓から飛び降りるには、真苗はまだ小さく降りられない。深詠子から逃げるように言われて、異変に気付けば階段を降るしかない。その時には下村は、二階の階段を上っていた。八歳の子供が階段で鉢合わせすれば、とても逃げ場がないのに、犯行時どうして真苗だけ逃れられたか。どうもその場面だけ、下村との聞き取りでハッキリしない。曖昧なのに藤波さんのあのメールはかなり信憑性があると高嶋も気付いて、藤波さんの想像とするには疑問があり、何処からか聞き込んだはずだ。事故現場に居た被害者で生存者は真苗ちゃんだけだ。彼女は事件後、直ぐに藤波さんが面倒を見てる。此の接点しか考えられないと高嶋は見解した。果たしてあの子は、付き合いの短い藤波さんだけに伝えるだろうか。
「あのメールはどうして作成したか、聞かして欲しい」
「あれは、あくまでもわたしがテレビや新聞で知った範囲で想像したに過ぎない」
その点は、あの文章を見せながら三木谷さんも、その疑問を下村に云った。下村も本当に知らないのか、思い出せないの一点張りで、とにかく藤波さんに会って話したい。あの人を見れば妻が浮かんで来て、不思議とあの人に会って話せば記憶が蘇り、出来るだけ早い接見を望んでいる。
「どうします。会いに行きますか」
下村が向こうから言ってくれば当然会いに行く。