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高嶋弁護士7

 高嶋が一方的に電話をすると、手持ち無沙汰になった藤波は、今一度名刺をじっくり観た。名刺には所長とは書いてない。高嶋の電話の口ぶりでは相手は法律事務所の助手らしい。ちょっと手が離せなくなり、下村の面会を代わりに行くように指示していた。

 電話を終わってやっと珈琲に手を付けた。それも先ほどまでの忙しく喋っていたのが嘘みたいに、慌てずにじっくりと味わって飲んでいる。あれ? 此の人はどっちがいつもの高嶋なのか変化に戸惑う。

「あっ、お待たせして申し訳ない。うちで働きながら司法試験に頑張ってる者を代わりに行かせました。もう予定がないのでじっくりとお聞きしたいのですがよろしいですか?」

「こっちは夕方に店を開けるまで大丈夫です」

 今までこんなに呑気にやれなかった。どうして可奈子ともっと早く一緒にならなかったのだろう。今になってやっと解った。今まで深詠子の幻影を追い続けていたんだ。それと入れ替わるように、下村がその幻影に怯えている。 

「高嶋さんは事件直後から下村と面会してるんですね」  

「まあそうです、もう一ヶ月ほどになります」

「じゃあ相当面会してるんですか」

「まあ毎日は行けませんが、三日に一回ぐらいは行ってましたが、最近は新しい情報もないので余り行ってませんね」

「会ってみてどうでした。人を殺すような人でもないでしょう」

「まあそれは強盗殺人以外はみんな大抵そうです。特に下村さんの場合は動機らしい動機が見つからない。普通は憎しみを伴って感情が高まり気が付けばっていた。あの人の場合は自分との一体感を求めていたのかも知れない。そこが今度の裁判での焦点になると思うのですから、そこをハッキリとさせないと事件の解明が進まない」

「それでこっちへ会いに来られたかですか」

「そうです。どうでしょう深詠子さんへの事をもっと深く知らないと、下村の動機に辿り着けないんです」




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