表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/147

高嶋弁護士6

 事件の質問になると急に頭を抱えてしまって、話にならずに中断を余儀なくされて取り調べの刑事も弱り果ている。

 本人は深詠子に許しを請おうと深刻に願う余り、思い込めば思い込むほど精神が異常に乱れる。このままだと安静を保つために入院の措置も考えないと、それで安定して取り調べる方法を探っている。しかし藤波さんが面会に来てから、かなり精神が安定してきていると聞いて、一度あなたに会ってみる気になった。

「藤波さんは下村と面会しましたが、その時に事件について訊いてましたね」

「どうして知ってるんです」

「面会に立ち会った署の者がすべて聞き取っています。その情報教えてもらって、弁護士さんからあなたに話して欲しいと頼まれたんですよ。警察も出来るだけ下村への刺激を避けているんです」

 警察は事件当時は心神喪失状態だと判断されるのを恐れている。

「あなたは下村が事件を起こさなければ会うこともなく、真苗と謂う子供の存在も知らずにいられた。それを報せたのは深詠子さんです。厳密には娘さんの真苗ちゃんですが、何故、彼女はそうしたのか、そうしなければならないのか、それを考えましたか」

「今まで憎んでると思っていたからでしょう」

「でも彼女に対して何の感情も持たなければ、愛も憎しみも湧かなかったはず。それは深詠子さんも同じでしょう」

 預かった期間は短いが今までの真苗を見れば、深詠子の想いは一目瞭然だ。つまり此の八年間、下村夫婦の間には触れてはならない何かがあった、そこを高嶋は聞きたいのだ。それは藤波も知りたい。

 此処で高嶋は下村との面会時間が迫った。藤波との話を聞いて中断できないと事務所に電話した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ