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高嶋弁護士4

 頼んだ珈琲がようやくテーブルに並んだ。それほど高嶋は間を空けずに手際よく話を進めていた。

「下村さんが動機を躊躇ためらう原因があなたにある、と、あの人と接見すればするほど最近は思えてくるんですよ」

 今までは簡単な質問には明確に答えていた。その簡単な質問にも最近あやふやになってきた。丁度その頃に藤波さん、あなたが面会に訪れている。

「いったいあなたと下村さんとは、どう云う関係なんですか」

 事務所の調査によると、あなたは下村が事件を起こすまで一度も会っていない。しかし我々の調査では下村はあなたの幻影に怯えている。

「そんなことはないでしょう。最近まで顔どころか名前も知らなかったんですよ」

「私も下村の弁護をするまで、いや、してからも暫くあなたの存在は知りませんでした」

「じゃあ、いつ知ったんです」

「下村の親族、奥さんの調査過程で知りました」

「どんな風に」

「先ずは被害者である下村深詠子さんと加害者の下村優司の夫婦関係を調べました」

 そこから色々と判ってきた。先ずは深詠子さんの結婚の動機。深詠子という人物の人柄を調べると、どうして下村と結婚したのか。幾らプロポーズされても有り得ない。そこで深詠子さんと一番親しかった三沢磨美さんから聞き取り調査して、ある条件下で一緒になった事実が判明した。

「そこからあなたの存在が判りました」

 それで下村優司に聞き取ると、下村はハッキリと藤波啓一朗と謂う人物の存在を知った上で深詠子さんと結婚した。その条件が今あなたの処に居る真苗ちゃんを実子として認める。下村は此の条件をあっさりと呑み込むほど深詠子さんにベタ惚れだと知った。

「問題はここからですが、それが今、下村にはそうとう影響しているんです」

「どう云うことですか」

「つまり奥さん亡きあとに許しを請うとすれば、あなた以外に存在しないんです」




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