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居酒屋「どん底」2

「近所に居るわしの知ってるじいさんで豊田さんやが、この人はもう直ぐ八十五や。その人とあの長老とは知り合いなんや」                「それであの長老は何て云うんです」

「やっと聞き出して、酒巻さかまきって言うてた。歳は言わんが豊田はんと近いらしい」

 豊田が言うには立花の両親も藤波の両親もえらい恋愛して一緒になった。両親はもう亡くなって今は息子しかおらへんが可奈子の両親はまだ元気だ。

「あんたのお父さんは駆け落ちまでして一緒になって此の店をやらはったんや」

「可奈子の両親は?」

「あっちはそこまでやってないが。親に逆らって一緒になったんは変わらへん」

 それだけ必死で頑張った。もうひと世代前の豊田と酒巻の時代は戦後の混乱期で、あの頃はみんな一家心中の手前までいった家もあった。

「その長老の酒巻さんは何処に住んでるんですか?」

「わしかて生き字引とちゃう、でも、確か仁王門通りのあの辺りに居る人やけど、じっくり玄関見てへんさかいよう分からん」

「そやかて源さんは長いんでっしゃろ」

「当たり前や。わしは可奈子の親の代から知っとる。そやさかい二人一緒になったかて別に不思議やないでィ」

「でもこればっかりは、そうはいかんのが普通でしょう」

「そやなあ、相性って言うもんがあるわなぁ。そやけど二人とも子供の頃からよう一緒に遊んでたがなあ」

「まあ、家が近いしね」

「そやなあ、此の近辺も新しい店が出来て、売ったかなりの住民は引っ越したさかい。わしもあんたのおやっさんの藤波はんと立花のおやっさんとで、そろそろあの二人一緒にしたらどうやて云うた尻からあのは結婚して。それからやでお母さんが亡くなって、おやっさんも身体悪して、やっとあんたが此の店引き継いで常連客はみんなほっとしたんや。それはそうと今日は可奈ちゃんはどないしたんや」

「ちょっと二階で休んでる」


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