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第99話 雑談

 小屋の中に案内して、客用の椅子を出す。

 木の剣は、適当に地面に刺しておく。

 そして、葉っぱを瓶から取り出し能力を切り替える。

 手元に小さな火を出して、軽く炙る。

 その後に濾過済みの水に浸ける。

 嶺二は人間だから提供するなら、少しでも濾過した物の方が良いだろう。

 葉水の葉っぱは、人間に害はないから問題は無い。

 少し時間がかかる。


「あまり、物はないみたいだな」


 嶺二は、椅子に座らずに、キョロキョロと小屋の中を見渡す。

 彼の言う通り、小屋の中の物は多くない。

 商人から買った物、今までき作った物だけの為、質素な印象を受ける。

 僕自身が部屋の中に、あまり多くの物を置かない人間だったことも、大きく影響してるだろう。

 物が多いと、窮屈に感じて苦手だ。

 むしろ僕としてはこのくらいか、もう少しあるくらいがちょうどいい。


「女性の部屋をそう見る物じゃないぞ?」


 冗談をつぶやく。

 僕自身は隠すようなものも、持っていないから気にしていない。

 身体は女性だけど、魂は完全に男と言うのもある。


「あぁ、そうだな。済まない」

「葉水は時間がかかる。座れ」


 嶺二は僕に促されて、椅子に座る。

 キィと木の椅子から音が鳴る。

 頑丈めには作っているけれど、鎧を着ている成人男性は重いのかもしれない。

 壊れないか、心配になる。

 椅子に座っている途中に、壊れるのは危ない。


「この椅子は作ったのか?」

「そうだよ。椅子も机も自作品だよ。龍の能力に便利なのがあってね」

「自力でこれをか。凄いな」


 僕は対面するように椅子に座る。

 相変わらずシクは、姿を消している。

 一切、関わる気がないのだろう。


「僕は人里には降りないから、自分で作るか、たまに来る商人から買うしかない」

「あぁ、なるほどな。特に近くの国が龍嫌いの国だから人里なんて降りれないか」


 人里に降りたら、間違いなく討伐される。

 そのリスクを負ってまで行く理由もないから、基本的に近寄らない。

 近くの国が龍を嫌う国なのは運が悪いのか、はたまたこの世界の人達がそういう認識なのか。


「生活はどうしてるんだ? 食事とか」

「この山の果実とそこの水場から魚、あとは商人から買った保存食だけ、圧倒的に肉が足りない」


 肉は今、保存食の干し肉だけだ。

 植物を育て始めたから、果実や植物などの種類は少し増えた。

 しかし、肉は干し肉の一つだ。

 美味しいけれど、欲を言えばとんかつやステーキなどの肉が食いたい。

 ステーキはあちらの世界でも、あまり食べたことは無いけど。


「肉? オオカミは?」

「彼女たちにはこの水場付近に住まわせて貰ってるから手を出さない。というか出したら逆にやられる」


 フィリスさん1人でも勝てるかは、分からない。

 そして、近くに居ても、気づけないほどの隠密能力が高い者も居る。

 分が悪すぎる。

 そもそも、肉欲しさに狙う相手じゃない。


「そういう関係性か」

「それで何用?」

「うん? あぁ、集落の復興が一段落付いたからその報告とお礼をしに来た」

「報告なんて不要、自分勝手に動いただけだからもお礼要らない」

「せめてお礼はさせて欲しいんだけどな。戦闘以外でもゴーレムの力はかなり助かってるし」


 僕はゴーレムを1体集落に待機させていた。

 単純な命令なら聞くようにしてあったから、復興の手伝いをさせていたようだ。

 体力無限、昼夜動き続けられる力持ち、復興に役に立つ存在。


「1体くらいならそのまま置いておくけど」

「良いのか? 使えるのは3体じゃないのか?」

「言ったっけ?」

「いや、3体しか動かしてなかったから、制限があるのだと思ってな」

「あぁ、3体以上作れるようになったから、引き続き置いておく」

「あれだけ強くてまだ強くなってるのか。集落に置いといてくれるのは助かる」


 嶺二は僕の言葉に、驚きと若干の呆れた表情をする。

 その反応の理由は、嶺二が僕の戦闘を見ていたからだろうと思う。

 実際、僕は結構強いのだろうと思っている。普通なら特訓なんて要らないくらいには。

 だけど、僕は純粋に強さを求めてる。

 端的に言えばこの世界の最強を目指している。

 まだまだ足りていない。


 様子を見ると、葉水がいい感じに出来ていた。

 コップに注いで、机の上に置く。

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