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第98話 思わぬ再会

 数日経ち、能力強化の特訓の成果が出始めていた。

 炎は召喚が早くなり、そこそこ大きい炎を出せる。

 威力や速度も上がっている。

 今までは出してから大きくしていたけど、その手間が減った。

 戦闘中の手間が減るのは、大きい。

 炎は地龍戦でも使う予定。

 大地の防壁に炎を叩き込んで削る役。


 炎以外にも他の能力も強化されている。

 防御の能力は、素早く展開出来るようになった。

 能力の切り替えの速度も上がったことで、緊急時に早く防御を展開出来るようになった。

 戦闘で使えそう。

 身体強化の力は……あまり変化を感じない。

 気持ち早くなったかなくらいの変化だ。


 ……うーん、変化を感じない。身体強化だから全体的に強化されたのかな?


「全体的に強化されているはず」

「そっかぁ」

「身体強化は特に戦闘時に変化が分かりやすいが、事前に慣らしておけ」

「慣らす?」


 僕は、そんな事する必要ないんじゃないかと思い首を傾げる。

 特に動きに支障が出てる訳でもない。

 動きが遅くなるのではなく、動きが早くなるのだから、慣らすも何も無いんじゃないかと。


「念の為、いざと言う時に思うように使えなければ効果は無い」

「うーん、わかった。能力特訓の時以外にも使う」


 シクの判断は、基本的に正しい。

 知識が多いからその分、知っているのだろう。

 シクが言うのだから、慣らしておく必要があるのだろうと考える。


 毒の能力は、英雄相手に使った麻痺毒を少し強化した程度でほとんど触れていない。

 麻痺毒も身体を麻痺らせて動きを鈍らせる物で、心臓や呼吸など命に関わる物には、ほぼ影響が出ないように作り替えた。

 もっと強力な毒も作れそうだけど、僕はどうしても毒は嫌い。

 そして最後、物体操作の能力

 僕は、特に物体操作の特訓をしていた。

 物体操作が地龍戦において、もっとも重要な役割を持っている。


 集めておいた木を物体操作で操って、様々な形に変えていく。

 木の密度を高めて、強度を上げて壁のように自分の前に置く。


「……この規模だとまだ足りないよね」

「主の作戦を実行するのなら、足りないな。だが、上達は早い」

「もっと魔力を込めて強化して行こう。命令は単純で良いから」


 分割して、複数の木の剣に作り替える。

 そして、自分の周囲に浮かせて、僕を中心にクルクル回転させる。

 手を軽く動かして木を操る。

 少し離れた地面、森の入口付近に木の剣を飛ばして、突き刺す。


「うぉっ!? なんだ!?」

「うん? 誰?」


 木の剣を雑に飛ばした方向から、だれかの驚きの声が聞こえた。

 声は男性の物だ。

 気づいてなかったけれど、近くに人が居たようだ。


 ……当たってはなさそう


 突き刺さった木の剣の位置は、目視できる。

 血に濡れていたり、人に刺さってたりはしない。

 どうやら、当たってはいないようだ。


「誰だ?」


 僕は木の剣を操りながら近付く

 木の剣は殺傷力は低いけれど、飛ばしてぶつければかなり痛い。

 人間相手なら、殺さない上、痛みを与えられるちょうどいい道具。


「出てこないなら全部叩き込む」


 木の剣の先を男が居る方向に、向けて構える。

 いつでも放てる。


「待った。俺だ俺」

「オレオレ詐欺?」

「こんなオレオレ詐欺があってたまるか」


 姿を現したのは、見覚えのある人物だった。

 鎧を身につけた槍を持つ男性。

 魔族との戦いの時に出会って、協力をした人物。

 大和と同じ勇者の1人だ。

 名前は確か……


 ……確か……あれ?


 彼の名前の記憶にない。

 名前を覚えるのは、そこまで苦手では無い。

 特に戦闘時に協力した人物の名前を、忘れるような僕では無い。


「……名前なんだっけ?」


 思い出せないので、彼に聞く。

 名乗っていたら悪いけど、このままモヤモヤしているのは、少し気持ちが悪い。


「獅童嶺二だ。そういえば名乗ってなかったな」

「覚えてないのではなく、そもそも聞いてなかったか」

「そっちの名前は? 後で聞く予定だったけどすぐに居なくなったから聞けなかったんだよ」


 戦闘終わった後、直ぐに僕は集落から離れた。

 確かによく思い出してみたら、名前は後でという話があった覚えがある。

 普通に今の今まで忘れていた。


「戦闘後も集落に居るのは村人たちに悪いと思ってな。僕の名前は鈴鳴悠真」

「今もその名前使ってるのか?」

「そもそも名前をほとんど使ってない。知ってるのは……君で3人目か」

「大和以外にも?」

「そうだ」


 この世界で、一番最初に僕が名乗ったのはシクだ。

 その為、大和は2番目に当たる。


「それで何用だ? 長くなるか?」

「短くは無い」

「なら小屋に来い。葉水ならある」

「へぇ、葉水あるのか。あれ美味いよな」

「美味しい。結構気に入ってる」


 嶺二を小屋の中に、案内をする。

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