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第87話 立地

 少し奥まで行き、何種類かの食べられそうな植物を見つけた。

 葉や茎が食べられる物、トマトのような赤い小さい果実が出来る物、白米のような白っぽい小さな豆状の物が大量に生えている物など様々

 味も食感も植物によってバラバラで、他の植物を合わせて料理したら面白いことになりそう。


 ……夏の植物だからこれだけあれば十分かな。冬に入ったら冬に育つ物探そう……あるよね?


 一先ず食用に出来そうな植物たちを1本ずつ丁寧に取って、小屋の近くに根っこを雑に埋める。

 そして木の枝を物体操作で操り、木の棒を作って地面に突き刺す。


 ……支えがないと育たない生態だよね? 確かこういうタイプを育ててる人達は支えの棒を刺してたはず


 エンドウ豆に似ている豆が成るツタ状の植物は、自身では自分の体を支えられないようだった。

 ツタを手に取った後は支えを失い、グテェと力なく倒れていた。

 ツタを取った時は、他の植物と違い慌てた。

 どうなってるのかと、周囲に生えている物をよく観察してみたら、他の植物や木々にしっかりと絡みついていたのだ。

 推測ではあるけれど、外部の支えが必要なのだと考えられる。

 ただ今、ここにはちょうどいい支えになりそうな植物は生えていない。

 チラッと埋めてある植物を見る。


「……育ってはいるけど危ないよね?」


 ここに生えてる物は、既に大きく成長している個体ばかりだ。

 でも自重はともかく、他の植物の重さを耐えられるかは分からない。

 下手にツタが絡みついて折れてしまったら困る。

 だから、支えを木の棒で代用する。

 深く地面に突き刺して抜けないように、土の中で形を変えて固定する。

 そして軽く優しく木の棒にツタを絡ませる。


「これでよし、様子見と……一応増えた時用に囲っておこうかな」


 今は小屋の近く(小屋から少し離れた場所)の、1箇所に集めて埋めている。

 数が少ない今はそれでいいけれど、繁殖していったらこのまま広がっていくだろう。

 増えることはいいことだけど、収穫や状態のチェックなどが大変になると想定出来る。


 柵を作って植物が繁殖出来るエリアを制限する。

 基本僕とシクの二人分あればいい。後は客が来た時に振る舞える分が収穫出来ればいい。

 人が増えるなら量を増やす必要はあるけど、残念ながらここに余り客も定住者も来ない。

 来るのはほとんど命を狙う、『敵』だ。


「ゴーレム、木を集めてきて!」


 2体のゴーレムに命令を出し、柵用の木を集めさせる。

 その間、僕は思考する。


 ……適当に近くに埋めたけど、ちゃんとエリアを決めておくべきだったか。実験を兼ねていたとはいえ雑過ぎたかな


 植物を埋めた場所は小屋から近いだけでなく、森の入口も近い。

 早いペースで繁殖していくのなら、もう少し広い場所が適切だろう。

 今、植物の種類を増やしたからさらに狭く感じる。

 湖の付近は、木々や背の高い植物が生えていない平原のような広い土地がある。

 今までは、その広い土地で能力や鍛錬をしていた。


 ……木を少し薙ぎ倒してエリアを広げたら今考えている分は多分作れる……それか崖と小屋の間がいい感じに……いや、日光当たらないか。栄養になったはずだからそれはまずい。悩む


「……シク〜、ヘルプ」

「何?」

「育てるのに良い場所がどこかって話考えてて」

「そこで引き続きはダメ?」


 シクは今、植物を埋めている所をチラッと一瞥する。

 僕も少し見渡すけど、思いつかない。


「繁殖していった場合を考えたら狭いかなって」

「小屋の裏は……日光か」

「そう、そこは日陰になっちゃうから無理だと思う。植物は日光からも栄養貰ってた筈だから」

「範囲が広く小屋から近い方が良いのか? ならそこ」


 シクは、素早く指をさす。

 鍛錬に使っているところ

 確かに僕も考えたけれど、そこは問題があった。


「そこ、鍛錬とか戦闘でぐちゃぐちゃなんだよね。それに襲撃がないとは限らない」


 戦闘の跡が残っている。

 土が酷い有様で、植物を育てるには適していない。

 それにこれからも、この付近で戦闘になる可能性は大いにある。

 となると戦闘の舞台は小屋の前が多そう。

 そんな場所で育てても戦闘の度に植え直しだ。


「確かに、であれば……」


 シクは周囲を見渡し、良い場所がないか探している。


「後、小屋に近い方がいいけど別にこの水場の付近ならどこでもいいかな」

「この滝つぼの近くか?」

「水が近くにないと水が足りない時に困るから」

「そうか」


 湖の付近なら、今の身体能力ならすぐに行ける。

 湖の付近なら、小屋の近くというこだわりはない。

 近い方が楽ではあるけど。


「ならば簡単な話ではないか」

「簡単な話? 良い場所あるって事?」

「そこ」


 シクは、その場所を指差す。

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