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第82話 魔法の難易度

「土魔法か、雷系の魔法と同じ感じ?」


 土系の魔法は、初めて作る。

 属性系の魔法で作ったのは、雷閃と妨害用に作った魔法くらいしかない。

 同じ感覚でいいかを聞く。

 同じ感覚で良いのなら、前例があるから作りやすい。


「否、あれは魔力を雷に変換する魔法、感覚で言うならば治療系や妨害系と変わらない」

「土魔法は違う?」

「土魔法にも同じ種類の物はある。しかし、今作ろうとしている魔法は既存の物質を魔力で操作する魔法、性質が違う」

「なるほど、それは作るのが難しそう」

「無論、それだけでは無い」

「と言うと?」


 僕は、首を傾げてシクの方を見る。

 別で注意点があるのだろうか。


 シクは、僅かに口角を上げていた。

 僕知ってる、意地悪なこと考えてる時の笑みだ。

 美少女の意地悪い笑みは絵になるけど、この後の言葉聞きたくない。

 さっきの話が、ぬるま湯に感じるくらいの話が出てきそうで怖い。


「物体干渉で周囲に影響を及ぼす魔法は攻撃魔法のように大雑把は許されない」

「あぁ……確かに……」

「込める魔力が弱ければ効果は薄く、強ければ周囲の物体を破壊しかねない。育てるならば細心の注意で作らねば無駄になる」

「うへぇ……」


 ぬるま湯どころか、冷水だった。


 ……それは想定外……でも確かにそうか……それなら能力の方でどうにか出来ないかな? いや、無理か


 物体操作に関しては、能力で備わっている。

 しかし、あれは栄養の活性化や成長の促進のような細かい作業には向かない。

 出来るかもしれないけど、現状では土に使っても動かすやゴーレムの形にするくらいが限界。

 大人しく魔法で作るしかない。


 シクに確認して貰い、魔法を製作する。

 焦らず確実に、少しずつ整えていく。

 シクの言う通り、攻撃魔法のように雑には作れない。

 弱い魔法では、効果が薄いのは分かっていた。

 けれどシク曰く強く込めすぎると逆に周囲の物体(土や植物)を破壊すると言う。

 それは、もっとダメなケースだ。


 ……これは違う。これだと多すぎる。これだと変に悪影響が出そう


 行き詰まったら、休憩を挟むことで頭を冷静にする。

 一度、落ち着かせないと立ち止まって、ぐるぐる考えてしまう。

 その間もシクから話を聞いて、魔法の勉強を行う。


「後、不必要な効果を含まなければ、より魔法の効果は上昇する」

「効果を縛ると強くなる! みたいなことがあるの?」

「否、影響を及ぼす効果の範囲を狭めることで必要な効果に余った魔力を乗せられるという話」

「ほ、ほほう」

「……雷閃で例えの話をしよう。現在、あの魔法は複数の雷を発生させる。相違ないな?」


 シクは、例えを使って説明を始める。

 例えを出したのは、僕が分かっていないような反応をしたからだろう。

 実際、いまいちどういう原理かが、分かってないから助かる。


「そう設定したからね」

「同じ魔力で雷を1本に集めるとどうなる?」

「……あっ! 威力が上がる」

「33点」

「なぬっ……あと77点は?」

「威力だけでは無い。あの魔法で言えば範囲、威力、速度が向上する。調整すれば変化可能ではある」


 彼女は、僕の前で三本の指を立てる。

 そして、三本の指に均等に魔力を込めている。

 その後に2本、1本と魔力を込めている指の数を減らしていく。

 その際、減った指の分の魔力を、均等に残っている指に上乗せしている。

 最後、彼女が1本にすると、指に込められている魔力は最初の3倍になった。

 3本の指に込めていた魔力が、1本に集中した結果だ。


「1本と複数では乗せられる魔力に差がある。つまり複数に分散させている魔力を1本の効果へ乗せる事が出来れば、その効果がさらに力を増す」

「なるほど、でも妨害や攻撃魔法の時はなんで教えてくれなかったの?」


 妨害や攻撃魔法の際に知っていれば、より良い魔法が作れた可能性はある。

 効果の上昇は、それだけ有意義な物だ。


「実力不足と効果を狭めることは、即ち使い方の制限、戦闘においては使いづらさは欠点となる」

「あぁ、そうか……うん、確かに使いづらい魔法になったら戦闘じゃ使えないかも」

「他の注意点は、込めた魔力の総量に変化はないこと」

「わかった。気をつける。そうなるとここは要らないから……この部分を消して、この表現で」


 夜深くなり、眠って翌日も続けて制作する。

 そして数時間経ち、日が頂点に登ってからしばらく経った昼過ぎに魔法は完成した。



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