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第57話 作戦成功

「ゴーレム! 動け」


 3体のゴーレムに、命令を下す。

 3体では数の不利は覆らないけれど、充分。

 魔法発動時に声のした場所は分かっている。


「ゴーレム!?」

「行け、戦闘開始だ」


 声のした方へ、それぞれ突っ込ませる。

 厄介な強力な魔法の対応方法。

 それは、発動をさせないこと。

 先程、複数人で発動させていたということは、おそらくは単独では不可能か、不可能に近いほど困難な魔法だと考えられる。

 それなら、ゴーレムで相手の戦力を分散させてしまえばいい。

 発動が出来ない状態にしてしまえば良い。

 ゴーレムが、森の中に入り暴れ回る。


「ゴーレム!?」

「くっそ、迎撃しろ!」

「アイスランス」

「こいつ硬いぞ。ファイア」

「狼狽えるな、陣形を保て」


 ゴーレムが暴れ回っている近くで、叫びに近い声が聞こえる。

 声の内容から、作戦は大成功。

 なら、僕がやることは簡単。

 ゴーレムが暴れて、時間を稼いでいる間に1人ずつ速やかに無力化する。

 森の中に入って追撃する。


「アイスウォ……」

「遅い」


 僕は素早く接近して、相手の魔法発動より先に拳を叩き込む。

 発動方法の詠唱+陣は発動が早い故に、基本的に使う人が多いらしい。

 だから、先程は接近した時に相手の魔法が間に合ってしまった。

 だけど、もう分かったから問題はない。

 発動は早いけれど、展開式の陣と詠唱という僅かな隙が存在する。

 その隙に叩き込む。

 1人目を無力化した後、すぐにゴーレムに魔法を撃っている魔法使いに奇襲をかける。


 真横から素早く拳を振るい、殴り飛ばす。

 もちろん、しっかりと加減しているから死んではいないだろう。

 もっとも確認している時間はないから、終わるまで放置するけど。


「シールド」


 目の前に、障壁が展開される。

 接近に気付かれた。

 防御の能力で、作り出す物に似ている。

 名前もシールドなら、同じ防御系、防御魔法で間違いないだろう。

 障壁は、目の前に現れた。

 避けるには、急な方向転換が必要。


 ……シールド……ならもう少し力を込めよう


 避けないで、正面突破を試みる。

 人の使う防御魔法の性能も、気になっていたところ。

 少しだけ力を込めて、障壁を殴る。

 硬い何かを殴った感覚がある。


「無駄だ、私のシールドは……何!?」


 ピシッ、と障壁から音が鳴る。

 今の一撃で亀裂が入った。

 しかし、亀裂だけで破壊まではできなかった。

 亀裂の入った障壁が、まだ目の前にある。


 ……力が足りなかったか


 込めた力が弱すぎた。

 防御魔法を舐めていた。

 でも、足りないならもう一撃打てばいい。

 単純なこと。

 同じ力で、もう一度殴り障壁を粉砕する。

 ヒビが入ったなら1、2発で砕ける。

 素早く、蹴りを叩き込む。


「ありえ……」


 驚きの表情をしている魔法使いに、蹴りが叩き込まれて地面を転がる。


 ……次


 倒れた相手に、構ってる暇はない。

 次の敵の元へ向かう。

 魔法使いから様々な魔法を受けても、ゴーレムは破壊されていない。

 ある程度の相手であれば、ゴーレムだけでも充分相手ができそうだ。

 良い情報だ。


 ……魔法使い集団、冒険者ではないな


 多分冒険者ではなく、騎士のようなタイプ。

 ゴーレムと戦っているメンバーは、それぞれの陣形を守って動いてる。

 動きが規則的。

 冒険者のような雰囲気は無いから、騎士とは別に魔法使いの組織があるのだろう。

 厄介だ。

 彼らを倒して帰したら、次はもっと厄介な敵が来るのが目に見えて分かる。

 それも、彼らよりも強い魔法使いだ。

 できれば、もう勝てないから諦めようってなって欲しいところ。

 僕は人里に攻め込む気なんてないし、殺しに来なければ戦う気もない。

 殺しにくるから、迎撃しなきゃならない。


 次から次へと無力化していき、聞こえていた人の声が止んだ。

 魔法も飛んでこない。

 おそらく倒し切った。

 想像より、数が居て時間がかかった。


「倒し終えたし……うーん、面倒くさい」


 倒し終えた後、僕がやることは決まっている。

 ただ、今回は凄い面倒くさい。

 魔法使いは15人居た、多いのだ。

 ゴーレムの力を借りても、この数を運ぶには1往復だと足りない。


「さて、どうしようか」


 2往復は、面倒くさい。

 集落は距離があるから、時間がかかる。

 できれば、1往復で済ませたい。

 何かいい案がないか考える。


 ……うーん、あぁ荷車作ろ


 物を運ぶための道具。

 大掛かりな物は作れないけれど、簡易的な物なら記憶にある。

 記憶を元に製造する。

 簡易的な荷車は、複雑な仕組みは無いから作れた。


「こんな感じかな」


 作り終えた荷車に、気絶している魔法使いを雑に放り投げる。

 彼らの扱いは雑だ。

 僕を殺しに来た相手だ、そんな奴らを丁寧に扱ってやる気はない。

 荷車で運べそうな数を積んで、積めなかった残りはゴーレムに抱えて貰う。

 荷車を引いて、集落の近くまで運ぶ。

 そして、いつもの場所に転がしておく。


 集落側からしても、毎度毎度、同じように負傷者の処置は面倒だろう。

 とはいえ、他の人里や安全そうな場所は知らない。

 文句があれば、彼らに言って欲しい。

 その後、人に遭遇はせず小屋へ戻れた。

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