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第44話 魔法について

「あっ、そういえば名前は? こっち来てから誰にも聞いてなかった……」

「名前?」


 少女に名前を聞く。

 こちらに来て、誰にも名前を聞いていなかった。名乗ってもいなかった。

 会った存在が殺意剥き出しの人間か、オオカミ、神狼族のフィリスさん、妖刀、商人。

 名乗る機会がほとんどなかった。

 商人には名乗る機会があったけど、相手も名乗らなかったから忘れていた。


「私は侵食」

「侵食? それが名前?」

「否、主らでいう種族名のような物、私は個体名を持っていない」

「あぁ、なるほど種族名だけか」


 色んな種族がいる世界だ。

 個体名を持たない種族が、居てもおかしくはない。

 そもそも、生物に当てはまるのか分からない。


「……侵食……しんしょく、シクでどう?」


 個体名がないと呼ぶ時、不便。

 侵食の最初と最後の文字をくっつけた名前。

 2文字なら覚えやすいし、名乗りやすい。

 本人が、不満そうなら別の名前を考える。

 チラッと顔を見て反応を確認すると、彼女は不思議そうにこちらを見ている。


「シク? 個体名がある方が都合が良い?」

「呼ぶ時あるだろうからね」

「ならばこれからシクと名乗ろう。主の名は?」

「僕は鈴鳴……悠真、鈴鳴悠真だよ」

「スズナリ?」

「悠真の方が名前、鈴鳴が苗字……まぁ悠真で覚えてくれればいいよ」

「そうか」


 その後、侵食ことシク先生から、魔力の使い方の講座を受けた。

 魔力の使い方と言う、本当に基礎から魔法の発動方法まで教わった。

 本当に、何も知らないからありがたい。

 勉強になる。

 数日かけて、魔法の仕組みを覚える。

 ただ、魔法の仕組み等は知っていても、人が扱う魔法にどのような魔法があるかは少ししか知らず、詳しくないと言う。

 魔法の習得は自力になる。


「ようやくわかったかも」

「遅い、鈍い」

「魔法も魔力も身近になかったんだよ」


 魔力も魔法も身近になかった物のせいで、どうも理解が難しかった。

 数日かけて、何とか1歩目を踏み出せた。

 それも頭で理解しただけで、実践はダメダメ。

 及第点すら貰えていない。


「何度聞いても不可思議な世界だ」

「色々とこっちと違うからね」

「然り、魔力がないなど理解できない」


 教わる前に、魔力も魔法も殆ど知らない理由を話しておいた。

 その際に、あちら側の世界の話も少しした。

 その方がどのレベルで話すか、決めやすそうだと判断したからだ。

 信じられない話と思っていたけれど、案外すんなりと受け入れていた。

 流石は、魔法が存在する世界、あちらだと絶対信じて貰えない。


 こちらに来た理由に関しては、僕自身が殆ど知らないから、とりあえず覚えてることを伝えた。

 そしたら、仕組みが似ている移動系の魔法があるから、おそらくはその系統によるものとシク先生は予想を立てた。


「主はどんな魔法を作りたい?」

「今欲しいのは戦闘で使えそうな魔法かな。治療系の魔法とあと妨害系の魔法」

「妨害系?」

「思いつくのは拘束と……煙幕かな」


 真っ先に思いつく攻撃、身体強化や防御は能力で既に保有している。

 今魔法で求めているのは、単独でできる行動の幅を広げること。

 特に、治療系が欲しい。

 あれば、戦いの中で傷を負った際にその場での対処が出来る。

 生存能力にも直結する。


「小細工など必要か? その力を振るえば良い」

「ふふふ、甘いね。その力を最大限使う際にこれが役に立つんだよ」


 妨害は、戦闘時の隙を作るために欲しい。

 僅かな隙で、攻撃のチャンスが生まれる。

 相手が構えている状態で、振るう攻撃と無防備な時に振るう攻撃では全く違う。

 それは知っている。

 拘束なら一定のレベルまでは無力化も可能、煙幕なら相手の力量関係なく隙を作れる。


「とりあえずは治療系の魔法、軽い傷は即回復くらいの魔法を作りたいなぁ」


 この身体は硬い。

 軽い傷でも、多分負わせるのは難しい。

 だから、軽い傷が即回復するレベルの魔法を持っていたら脅威になり得る。

 当然、四肢切断されても即回復できるレベルの魔法が欲しいけれど難しいだろう。

 出来るだけ早く力は欲しいけれど、高すぎる目標は成果を得るのに時間がかかる。

 少しずつ、段階を踏んで強化していく。


 つまり、今はレベルアップ期間。

 早速、シクから教わった基礎を元に魔法の制作に取り掛かる。

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