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第34話 対価要求

「治らない? それはどういうこと?」


 ついでで、とんでもない事を言われた。

 目の傷が治らない。

 だいぶ重大なことを、ついでで言われた。

 そして、治らないのはものすごく困る。

 痛いし視界がおかしいからほぼ使えない、片目を失っているのと余り変わらない。

 特にこの割れた画面みたいな視界は気持ちが悪い。

 戦いで片目を失うのは仕方がないけど、一生この状態なのは嫌。


 ……この傷は妖刀の力で負った。何かこの傷自体にも細工があるのか


 妖刀の力で負傷した事を考えたら、この傷そのものに何かしらの細工が施されていても不思議じゃない。

 武器に毒を仕込む、武器の形状で複雑な傷を負わせて治りづらくするなど、そういった細工はあちらの世界でも聞いたことがある。


「傷を蝕む。私の力は治癒を阻む。自然治癒は不可」

「絶対に治らない?」

「気に入らないけれど神の御業ならば可能、しかし、不可能に近い」


 ……不可能に近い……その神の御業を受けることが難しいってことか


 神の御業、その言葉からしてそう簡単に受けられそうなものではなさそう。

 ただ、治せる手立てがあるのは良かった。

 神の御業、つまり神関係。

 なら信仰する教会を探す必要がありそう、信者に接触したいところ。


「他の方法は?」

「私なら原因を取り除ける。しかし、理由ない」

「確かに」


 僕も、同じ立場なら正直治さないと思う。

 仲間でも、味方でもない。

 どちらかと言えば、敵対関係の相手を無償で治すわけがない。


 現状、わかっている治癒方法は神の御業だけ。

 当分は、このままの生活が続くことになりそうだ。

 神の御業に関する情報集めが必要、商人が良い情報を持っていたら良いけれど、相手は情報屋ではなく商人、期待は薄い。


 1つ別の問題が浮上した。

 オオカミの女性は傷が治るまでは、ここに居ていいと言っていた。

 自然治癒ができないとなれば、すぐに追い出されるかもしれない。

 それはかなり困る、しばらくは黙っておこう。

 せめて、商人が来るまでは隠しておきたい。


 ……頼むだけしてみようかな。条件付きでワンチャン


 頼むだけ頼んでみる。

 無理でも仕方ない、物は試し。


「そこをどうにかやって貰えたりは……」

「対価要求、見合う物を私に捧げるなら応じる」

「もちろん、支払える物なら」


 ダメ元だったけど、話の分かる人、刀で良かった。

 元所有者の老人のような変に頑固者には、ならなかったようだ。


 ……見合う物を対価……見合う物ってなんだろう


 対価を要求されるのは、自然な形。

 ただ、要求品は見合う物という曖昧な物。

 この傷を治す事に釣り合う何か、物なら物体か。

 いっそ指定された物であれば、情報を集めて探す、取りに行くができるけど指定はない。


「見合う物というのは君基準?」

「然り、視界の半分の回復ならば当然重い」


 ……治療に見合うもの……なんだろう、お金……いやそれなら遠回しで言わないか


「それって今僕が持ってる物の中にある?」

「あるならば指定する」

「だよね。うーん、お金も持ってないし……青淵石?」

「使えない物は対価にならない」

「そうかぁ」


 刀だから鉱石類は喜ぶんじゃないかと思ったけど、確かに貰っても使えないなら意味ないか。

 刀が受け取って喜ぶ物……特に思いつかない。

 刀に物を渡すという経験がそもそもない、ゲームですらしたことがない。


 ……刀と言えば刀身を磨くものかな。他だと装飾かなぁ。でも重いか? 結構な物を要求してきてる気がするんだよなぁ


 考える。

 相手が何を求めているのか、まずそれを見極めないとならない。

 まず前提として人ではない、刀だ。

 なら人に渡して喜ぶものとは異なるだろう。

 刀が喜ぶ物は分からない。

 ただ使えない物は対価にならない、というヒントは貰っている。

 それを前提にして考える。


 使える物ならやっぱり刀身を磨く物、身につける装飾が正解な気がする。

 どちらも使える物。

 物指定でないなら、毎日手入れを欠かさないなどの約束事だろうか。


 ……これは重い対価か? 違う気がする


 当然、重いといっていた。

 物も量産品ではなく、オーダーメイドの高級品なら軽くはない。

 けれど、もっと別の物な気がする。

 だけど、別の物が思い浮かばない。


「ダメだ、分からない。教えて」


 諦めて本人に見合う物を聞く。

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