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第23話 会話しつつ荷物準備

 水筒を増やすために、小屋の近くに置いておいた予備の岩を使う。

 水筒を何本増やすか、考える。

 今僕が持っている水筒は3本。

 1日1本使うとして、3日分の計算。

 数時間程度の遠出なら問題はないが、いつまで続くか分からない移動には少々心許ない。


 ……もう3本増やして6日分にしよう。節約できたら一週間以上持つ


 3本増やして水場で、水を満タンまで入れる。

 満タンまで入れるとそこそこの重さになるが、ゴーレムに持たせるので重量はさほど問題ではない。


「何をしている」


 小屋の前で待機していたオオカミが、僕の行動を見て聞いてくる。

 最初の時の圧はない。ただの質問のようだ。

 僕の行動を、不思議に感じたのだろう。

 水を入れながら、質問に答える。


「水筒で水の確保、移動中に手持ちの水が無くなるのは致命的」

「成程、確かに水分を得られる手を失うのは生命の危機だ。それにしても人間のような行動をするものだ」

「確かに人間みたいな行動か。龍種はやらなそうなイメージある」


 あの飛竜が、今の僕みたいな行動をしていたらものすごい違和感がある。

 他の龍種を知らないけれど、あまりこういうことをするイメージはない。

 龍の姿でたらふく直飲みしてそう。


 人のような行動というのは言い得て妙、確かに僕の行動は人間時代の影響を大きく受けている。

 僕は龍らしい行動が分からないというのもあるけど。


 ……これでしばらくは持つ。他は……うん、果実はこの量で十分


 水を入れた水筒をゴーレムに持たせて、次は箱を確認していく。

 箱を開いて中身を見る。

 入っている果実の量が少なければ、外に出る前に果実を回収したい。

 2つの箱の中には、合計で3日分にはなる程度の果実が入っていた。

 この量なら問題はない、しっかりと箱を閉めておいてまな板やナイフの入った箱と、一緒にまとめてゴーレムに持たせる。


 ……次は、青い鉱石どうしよう。持っていくか……置いていくか


 ナイフは便利だから持っていく。けれど、岩状の鉱石は悩んでしまう。

 岩状なだけあって、大きくかなりかさばる。

 ナイフの質を見てかなり良い鉱石とは感じるけれど、使うかと言われたら、正直使わない気がするのだ。

 しばらく考えていると、背後から声がする。


「まだ終わらないか」

「荷物が多くて……もう少しだけ待ってもらっても?」

「そうか」


 待っている間、やる事もなく退屈なのだろう。

 もっとも警戒は今もしているようで、いつでも動ける体勢を維持している。

 下手な動きを見せたら、一瞬で距離を詰めて攻撃してくるというのが容易に想像できる。

 凄い怖い。僕自身にそんな気はなくても、ビクビク震えてしまう。


 少し悩んで鉱石は一部だけ回収して、残りは置いていく事に決めた。

 何かあってもいいように一部だけ箱に詰める。


「終わった」

「長かったな。青淵石(せいえいせき)か。珍しい」


 青色の鉱石を見て、オオカミはそう呟く。

 鉱石の名前だろうか。


「珍しい?」

「山の内部ならともかく、外部でこの大きさの塊を見るのは久しい」

「ここの崖上で見つけた」

「ほう、水の流れで流れ着いたか。行くぞ。山の外はこっちの方角が近い」


 先導するオオカミの後ろを、ついて行く。

 南側に、下っていくようだ。

 この先には人間の集落がある、もしかしてその付近を通るのだろうか。


 オオカミの後ろ姿を見る。

 今位置的に、背後を取っている。

 攻撃をするなら絶好のチャンスに思うけれど、一切隙がないと感じる。

 本当に戦う選択をしなくてよかったと思う。

 あの場の自分の判断を褒めたい。


 4時間歩き、集落が見える崖上に着いた。

 集落の全体を見渡せる。

 一昨日より、家や柵が増えている。

 作業が早い、腕利きの大工やこういった状況に慣れている経験者が居るのだろうか。

 人も増えている気がする。

 変わらず鎧や武器を身につけている人たちを、ちらほらと見かける。


 ……総動員で作業してる感じかな


「あの集落は許可出してるの?」


 どこまでが山判定なのか分からないけど、おそらくは集落のある場所も神狼族のナワバリに入っている。


「出してはいない。勝手に住み着いてる。奥へ踏み込まない限りは無視しているが」

「……僕は追い出すのに?」


 それなら僕もあの水場で住んでも良くない? と思う。

 ちゃんとルールあるなら守るつもりだし、オオカミたちに喧嘩も売らない。

 オオカミは、僕の方を見てため息をつく。

 なんかダメっぽい発言をしたらしい。


「人間の集落程度であれば、些事だが貴様のような蛇龍はそうはいかん」

「な、なるほど、あの集落のそばを通る?」

「少し遠回りをする。人間と会うのは面倒だ。それと少し待て」


 待てと言われたので、止まり待機をする。

 オオカミの方を見ていると、オオカミの姿が変化していくのが見えた。

 四足が二足になっていき、2m以上の身体が小さくなっていく。

 そして変化が止まった。

 神狼族と名乗ったオオカミは、美しい薄青色の長髪を持つ女性の姿へと変貌した。

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