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第20話 青い鉱石とナイフ

 鉱石の岩は一旦地面に置く。


「ゴーレム、崖下で待機」


 ゴーレムに命令を出して、崖下で待機させる。

 そして崖から飛び降りて、下にいたゴーレムの手のひらに着地する。

 数メートルの崖から飛び降りたと言うのに、衝撃による痛みはない。

 身体がかなり硬い。

 ゴーレムも僕と同じように飛び降りて、軽々と地面に着地した。

 衝撃で少し揺れた。

 鉱石は物体操作で、慎重に落とさないように操ってゆっくり下ろす。

 下ろしたあと、適当な地面に置く。


「さて、新しい材料だけどこれはなんだろうか。青い鉱石と言えば……ラピスラズリやアクアマリン辺りが思いつくけど、あまりこういう場面で扱うものという印象はないかな」


 岩の全体を軽く見て回り、叩いて硬さを確認を行う。

 白い岩より硬そうに感じる

 白い岩より硬いなら小屋に使えそうだ。


 ……あの岩より硬いから小屋に使えるかな。でも小屋に使うとこの岩だけだと足りないかな


 細かくして白い岩に混ぜて使うだけなら足りる。

 ただその場合、量的にあまり高い効果は得られなそうに感じる。

 混ぜるにしても量が欲しい。


「うーん、あっ、そうだ、これでナイフ作ろう。この鉱石が刃物に向いているかは分からないけど、白い岩で作った雑なナイフより切れ味は良いはず」


 ナイフに使う鉱石を、物体操作で岩から取り出す。

 ナイフの刀身の分だけのため、ちょっとだけ取り出して残りは置いておく。

 取り出した鉱石を、石のナイフと同じように刃物の形に変化させる。

 青い鉱石がグネグネと変化していく。

 形や刃先などの微調整を何度もした後、木で手で持つための柄を作り付ける。

 そうして青い綺麗な刀身を持つナイフが完成した。

 満足のいく物が出来た。


「おぉ、綺麗な青色のナイフになった」


 原石は少し汚れた青の色をしていたが、刀身はその汚れが無くなり、本来の色味を活かした綺麗な青色になっている。

 おそらく外面が欠けて露出した結果、長時間、外に晒されて汚れたのだろう。

 今のナイフの色は、物体操作による物体の変化によって対象外の汚れが落ちて、元々の鉱石の色がそのまま現れたものと考えられる。


「綺麗な色のナイフはテンション上がる。切れ味確認のためにちょっと手頃な何かないかな」


 周囲を見渡して、丁度いい試し斬りの相手を探す。

 そして、目に付いた木に近づく。

 細すぎず太すぎない、いい感じの枝を見つけた。

 木の枝なら程々の硬さがあり、切れ味が悪ければ綺麗には切れないから判別にちょうどいい。

 ナイフの柄を握り込む。

 木で作った柄は、自分の手にピッタリ合うようにしてあるので、力を入れやすい。

 不要な力は抜いてから、木の枝目掛けてすばやくナイフを振るう。

 目の前の木の枝は、たやすく両断された。

 本体から切り離された枝が地面に落ちる。


 ……枝を軽々と……もう少し試そう


 他の枝でも試す、その全てたやすく切り裂いた。

 何度も枝を試し斬りをしたことで、このナイフの異常さに気づいた。

 このナイフ、普通じゃない。


「なにこれ、変な感覚」


 切る際に手応えがなかった。

 ナイフや包丁などの刃物類で物を切る時、基本的に手応えがあるものだ。

 物体を切るのだからあるのが自然。

 しかし、枝を切った際にそれがなかった。

 枝に当たる時に、生じるはずの手に伝わる僅かな衝撃によるナイフのズレがない。


「幹を刺してみよう」


 細い木の枝を切るだけでは、いまいち分からない。

 そこそこ太い木の幹を標的にする。

 木の幹にナイフを突き立てると、刃はさもそこに障害などないかのように、すんなりと幹に突き刺さる。


「うそぉ」


 ……柔らかいものを切ったくらい手応えがない。結構やばいもの作ったかも……


 どうやら僕は今、普通のナイフにいらないほどの切れ味を持つナイフを作ってしまったようだ。

 おそらくあの青色の鉱石は刃物系統、剣や槍などの武器に、使われるような鉱石だったかもしれない。

 切れ味が良いのはいいけれど、良すぎるのもいささか問題ではある。

 僕1人しかいないからそこまで問題は起きないだろうけど、このナイフの取り扱いに慎重になる必要がある。

 斬れ味が良いということは、少しの事故で身体が切れるという事だ。

 僕のこの肉体が切れるかは分からないけれど、人程度なら多分余裕だ。

 今は他に石のナイフしかないので、元の鉱石の形に戻すなんてことはしない。

 しかし、なんの対応もしないのは怖い。

 ひとまず白い岩で小型の箱を作ってナイフの形のくぼみを作りそこに入れて箱を閉じる。

 このナイフは、必要な時にだけ出す。

 移動時は切れ味はあまり良くないけれど、石のナイフの方が良さそう。


「明日以降も崖上探索かな。更に奥へ行ってみよう」


 奥へ行けば青い鉱石以外にも、鉱石類が見つかる可能性がある。

 青い鉱石も今の僕では扱い切るのは難しそうだけど、かなり優秀な鉱石。

 硬いから刃物系以外にも、色々と道具に使えそう。

 崖上探索1回目でこの鉱石を見つけた、崖上探索への期待が高まる。

 早朝から行けるように、早めに食事を取って寝る支度をする。

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