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第19話 崖上

「南側には人の集落、森の外に繋がっていそうだけどその先に行くのはリスクが高い。となると」


 水場に戻った僕は、崖を見上げた。

 後、行っていない方角は北。

 滝が流れる崖を登ることが手っ取り早いが、おそらく崖になっていない道もある。

 探すのと移動が手間だけど、その方が安全に行ける。


「北、ただ森の外にはつかなそう」


 北から南側に水が流れている以上、北に行くのは上流側に進むということ。

 つまり、北は森の奥へ進むことになると考えられる。

 ただ、材料集めには適している可能性がある。

 小石や岩などは上から流れ着いた物だ。


「材料探しならむしろ奥に行った方が手に入るイメージがある。明日行ってみよう」


 往復で8時間歩いたので、今日はもう休憩をする。

 これから北に進むと夜になってしまう。

 真っ暗だと視界が悪く、動きづらい。

 あと夜の森は怖い、何か出そうで怖い。

 ここは異世界で2m超えるオオカミや飛竜なんて居るんだから、幽霊くらい居ても不思議じゃない。


 箱から果実を取り出して、食べて水筒で水を飲む。

 明日に備えて、小屋でゆっくりと眠る。


 翌日


 準備を終えて、崖の前に立つ。

 崖を前にして少し考える。

 今、上に進むルートは2つ考えられる。

 このままどうにか崖を登るか、遠回りして崖ではない道を探すか。

 迂回路の場合、見つけるのに時間が掛かるだろう。


「迂回路を見つけるかこのまま行くか……1回試してからにしよう」


 一度やりたいことを、挑戦してみてから決める。

 身体強化をしても、ジャンプでは崖を飛び越えることはできないというのは、前回既に確認済み。

 また同じことをやっても届かない。

 だから今回は、ゴーレムを利用する。

 ゴーレムの1体を崖の真下に移動させた。

 ゴーレムの手のひらに乗って、ゴーレムが上げられる限界まで手を上げさせる。

 ゴーレムの大きさを利用したやり方、これで足りなかった高さを補う。


 ……これならどうかな


 前回より高い位置で、足に力を込めて飛び上がる。

 そして、ジャンプの最高高度に達した瞬間に、崖に手を伸ばす。

 ギリギリ、指先が崖際に触れて掴めた。

 そこから片手の力でしがみついて、少し身体を持ち上げていく。

 届くようになったもう片方の手でもしがみついて、ゆっくりと確実に這い上がる。


 ……うへぇ、すごいギリギリ、何とか届いた


 結構危なかったけど、何とか届いて登れた。

 途中、落ちるかと思い冷や汗をかいた。

 崖際から顔を出して下を見る。

 足場に使ったゴーレムが下で次の命令を待って、待機しているのが見えた。

 残り2体のゴーレムは、座るような体勢でジッ、と待機している。


 ……今回は1体でいいか


 土のゴーレムに荷物を持たせて、物体操作で浮かせて崖上まで引っ張る。

 ドシン、と音を立ててゴーレムは着地する。

 石のゴーレム2体は、小屋の周辺で見張りをさせる。

 土より石の方が、戦力として役に立つから小屋に置いておく。

 ただの岩などの荷物持ち要員なら土のゴーレムでも充分事足りる。

 ゴーレムを引き連れて、崖の上の探索を開始する。


「特には変わらないか」


 下の森と、あまり変わらないように見える。

 強いていうなら岩が多い、動いていない今でもちらほら確認ができる。

 川の周辺には小石が落ちていて、ちょっと下の小石より大きいように見える。


「小石色々な種類がある、どれがどういうものか分からないけど」


 異なる色の形、大きさの違う石を複数見つけた。

 数種類の石を拾って、果実を寄せて箱に詰める。

 小石も、何かに使えるかもしれない。

 数時間、川や周辺の探索を続ける。


 ……木に変化はなし、岩は……あれこの岩


「今までのと違う」


 ある岩を見て、足を止めた。

 この岩は、今まで見た岩と色合いが違う。

 今まで見ていた岩、ゴーレムや小屋に使っていたのは白い岩だった。

 この岩は外側は岩っぽい灰色に近い色だけど、欠けて見えている内部は、海のような鮮やかな青に近い色をしている。

 磨いたら宝石になりそう。


 ……青い岩……これって鉱石? 青いけど見た感じ水晶ではなさそう


 ぺたぺたとさわって、確認をする。

 灰色の部分も青い部分も硬い。

 おそらくは鉱石の類、ただ僕はこの鉱石を見たことはなく名前も知らない。


 ……これ、岩の全体が鉱石なのかな


 そこそこ大きな岩の形をしている、もしも全部鉱石なら結構な量になる。

 どんなものか分からないけど、一先ず新しい材料だ。

 鉱石なら適した道具を作れそうだ。


「よし、もう少し見て回って何もなければこれを持って帰ろうかな」


 もう少しだけ、探索を続ける。

 別種の鉱石や先程のものと、同じ鉱石の岩を発見できるかもしれない。

 同じものでも、量はあるに越したことはない。

 30分程度見て回りあの岩以外には、特に何もなかったので、抱えて水場に向かう。


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