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第18話 集落

 翌日

 昨日決めた通り、煙が上がっていた飛竜が飛んできた南側へ向かう。

 今分かっている情報は、南側である事と煙が上がっていた場所が、ここからだいぶ距離があった事。


 ……煙見える距離だから遠くても行けるよね?


 ササッと遠出の準備を済ませて、ゴーレム2体を引き連れて移動を開始する。

 南側は川に沿って、まっすぐ歩いていく。

 煙の方向は覚えている、川をまっすぐ進めば着く。

 川が目印になっているのが助かる。


「あっ、石がころがってる」


 川に目を向けた時、落ちている小石を発見した。

 立ち止まって小石を拾う。

 川に小石があるのは自然だ。不思議な話ではない。

 ただ、この川に繋がっている湖の周辺では、小石を見かけていなかった。

 川にあって湖にないのは、少し違和感がある。


 ……上流から水の流れで岩が削れたのが小石だったはず多分、でも湖の付近にはなかった


 これらの小石は崖上から滝を経由して、水の力で流されて来たのだと考えられる。

 そして崖上から流されてきたのなら、川と湖の位置からして、ほぼ確実に湖を経由している。

 ならなぜ、見つからなかったのか。


「湖の傍にはなかった……考えられるのは……湖の底に沈んでるから?」


 湖は透き通っているけど、水深が深く底ははっきりとは見えなかった。

 多分それくらい深いのだろう。

 もし底に小石が沈んでいても見えていなければ、僕も気づけない。

 潜っている時は、そもそも食料となる魚狙いで底の方は見てなかった。


 ……沈んでるなら潜って取りに行ける。色んな種類の石が混じってることがあるらしいし……後で探してみるのもありか


 落ちているものを拾うのは根気がいるけど、鉱石類が取れたら大きい。

 今の僕なら量さえ回収できれば、物体操作でそれらを1個の塊にできる。

 新しい材料の候補を得た。


 物体操作は使っていて感じたけど、汎用性が高い。

 この能力がなければ、小屋も、道具も、簡単には作れなかった。

 作れていても作るのに時間を、使っただろう。


 ……鉄があれば鉄製のナイフが作れる。石のナイフより良いはず


 川に沿って進む。

 そして進むこと4時間後、僕は煙が上がっていたであろう場所を見つけた。

 その場所は森の中にあった。


 ……ここからならよく見える。あそこか


 ここにも、数メートルの崖があった。

 崖際で座り、見下ろす形でその場所を見渡す。

 既に飛竜襲来から1週間経っている。

 なのに燃えた跡が目に見えて残っている。


「酷い有様」


 僕は一目見てそう感じた。

 上から見ていることでその場所の全体がわかる。

 そして、あそこが元々はなんだったのかも分かってしまった。

 嫌な想像が掻き立てられる。


 燃えていた物の大半は木、それも加工済みの人の手が加わった木。

 木で作られた建築物の燃え跡。

 燃えカスとなった真っ黒な残骸が、無惨にも散らばっている。

 建築物となれば、あの場所には人の集落があったと予想が付く。


 ……集落、あまり大きくはないかな。でも全滅ではないか、飛竜の襲撃があってよく無事だったなぁ


 飛竜の襲撃を受けても、生き残った人がいたようで、何人か動いている人が居るのを確認できる。

 襲撃の時にら上手く避難ができたのだろう。

 無傷だった飛竜が襲っておいて、逃げ遅れた人を逃すとは思えない。

 新しく作られたであろう家や集落を囲む柵が見えて、今復興中なのだとわかる。


「集落思ったより近くにあったなぁ。でも行くのはやめておこう」


 復興中、手伝えるなら手伝いたい気持ちはある、

 今の僕なら重労働を余裕でこなせて、ゴーレムで数人分の働きができる。

 かなり早いペースで復興を進められるだろう。

 だけど、僕は行かない。

 僕は人ではない、それどころか分類で言ってしまえば、飛竜と同じ龍種なのだ。

 下手に行けば命を狙われかねない、良い歓迎は間違いなく受けないだろう。


 それに動いている人の中に、鎧や武器を身につけた人達を見かけた。

 冒険者か、護衛か。

 どちらにしても武力を行使できる存在がいる場所に、足を踏み入れるのはリスクが高い。


「警戒しておくべきかな」


 ここから小屋まで徒歩4時間、近くはないけれど決して行けない距離ではない。

 僕の存在に彼らが気づいたら、冒険者か、討伐隊が来ると考えた方がいい。

 前遭遇した人たちレベルなら殺される心配はないけれど、彼らより強い存在は間違いなく居る。

 襲撃は面倒だ。

 こちらが殺す気なくとも相手は違う。間違いなく殺しにくる。

 その場合、対話は絶望的。

 前みたいに逃げ切るや問題なく相手を、戦闘不能に追い込めるなら良い。

 ただそれが出来なかった場合は、殺される前に殺すしかない。


「煙の正体わかったし帰ろう」


 煙の正体が分かり、スッキリとしたので帰る。

 ここに長居する理由もない。

 立ち上がってゴーレムを引き連れて、水場に向かって歩いていく。

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