第17話 遠出
放置していた石の水筒に、水漏れ等はなかった。
特に水筒に、破損も見られない。
……水漏れなし、破損もしてないしこれなら使えそう
水筒作りが、成功して良かった。
長時間使用も出来ると考えても良いだろう。同じ物を2本追加で作り始める。
1本目と違い、同じものを作ればいいから気が楽だ。
1本では、あまり多くの水は入れられない。
これで1日水筒1本分を飲むとして考えて、3日分の水分が確保できる。
実際は、想定外の事態を含めると持って2日ちょいくらいだろうか。
「木の箱と水筒は土のゴーレムに持たせて、石のナイフは自分で持っておこう。まな板は小屋に入れて……よし! これで準備は完了」
夜までには戻る予定で、少しだけ遠出をする。
狙いは新しい材料とオオカミ。
新しい材料を得られれば、作れる道具が増える。
今回、オオカミを狙っているのは、その毛皮で服を作りたいから。
石のゴーレム1体を、小屋の近くで待機させる。
盗まれて困るようなものは、まだ作ってないから小屋の守りは必要はない。
なので小屋の守りではなく、外出中にここに誰かが来たと、わかるようにするための見張り。
それが人なら最悪、離れる事を考えないとならない。
2体のゴーレムを引き連れて、移動を開始する。
進むのは湖を挟んで、小屋の反対側に位置する東側の森の方。
下に降り、浅い川を超える。
周囲探索の時に東側も、近くは見て回っていたけど遠くはまだ見ていない。
「こっち側にもオオカミ居るよね? オオカミじゃなくてもいいけど」
別に僕はオオカミに拘ってはいない。毛皮を持つ生物ならなんでもいい。
むしろ、羊のような生き物の方が良い。
背の高い草を掻き分けて、森の中を進んでいく。
果実の生っている場所を、覚えて先に進む。
しばらく歩いて、周囲を見て回る。
特に森の様子に、変化は見られない。
オオカミや他の獣、人工物も見つけられない。
……景色が変わらない。岩はちらほら見つかるけど……別の種類ではなさそう。必要になった時用に覚えておこうかな
見つけた岩を確認する。
小屋に運んだ岩と同じ種類のもの、今回は運ばないけど、何個くらいあったかを覚えておく。
その後、何事もなく進んでいく。
良くも悪くも変化は何もない。
オオカミや羊系にも会わないし、人にも会わない。
……うーん、森の外にもつかない。この森広いなぁ。抜けられるかな?
しばらく歩いて外に出ないことから、想定よりも森が広いと分かる。
僕が目覚めた位置から、既に東に結構移動しているのに外につかない。
それほどに広いのだ。
広すぎて、若干の恐怖がある。
しばらく探索して新しい材料どころか、オオカミも見つからない。だから、今回は諦めて来た道を戻って、水場の方へ行く。
それから遠出の道具を持って、毎日数時間、森の中を探索した。
数時間まっすぐ歩いても、森の外にはつかなかった。
その事を考えると森を出るには、日を跨ぐ距離の移動をしないと、ダメなのかもしれない。
もっとも、遠出で成果がなかったわけではない。
水場近くにある果実とは違う。新しい食料となる果実を手に入れた。
それも、美味しく食べられる大きめの果実だった。
食用に使える新種の果実は、とてもありがたい。
……岩も増えた。ゴーレム増やしたいなぁ
遠出の帰り道に、近くの岩を毎回運んでいた。
その結果、10個以上の岩が小屋の近くに、使わずにそのまま放置されている。
大きさもそこそこの岩のため、しばらく岩を材料にする時は困らない。
ただちょっと多すぎて邪魔。
いずれは、石のゴーレムを増やしたい。
ゴーレムは戦闘でも雑用でも役に立つ上、破壊されても、即再生が可能という優秀さを持つ。
しかし、現状3体までしか作れない。
翌日、小屋の中でグテェと力なく寝転がる。
今日は、休憩の日と決めた。
その為、今日は特に何もせず、小屋でボーとする。
現状、必要な物の中で食住が揃っているので、1日程度の休みなら支障は少ない。
無駄に焦っても、良い成果は得られない。
「まだ行っていないのは崖上の北と川が続いてる南側、南側行って成果なかったら崖上目指すかぁ」
……そういえば南側って飛竜が来た方向で煙が出てたところだったな
飛竜が現れた日、飛竜が飛んできた方向から、複数の煙がモクモクと上がっていた。
その方向がこの小屋から、南に位置していた。
……おそらくあの飛竜が何かをした場所、何があったのかな。気になる
その件で話をしたわけではないけれど、タイミング的に考えて、飛竜が何かをしたのだろう。
その場所で煙が上がっていた事から、炎を使ったのだと考えられる。
炎となれば僕にも使ってきたあの炎の攻撃。
なら戦闘にでもなったのだろうか。
考え始めて、気になってきた。
「……明日向かおう」
今日は休みの日と決めているので、明日行く。