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第16話 道具作り

 目を覚ます。

 明るく何かと思ったら、小屋の窓から小屋の中に日が差していた。

 朝の支度を済ませて、3体のゴーレムを引き連れて森の中を探索する。

 その後、1時間程度で岩を4つ見つけた。

 結構、簡単に見つかった。

 ゴーレムと協力してヨッ、と抱えて4つ運ぶ。

 落とさないように、気をつけて水場に戻る。


「このくらいあれば道具作っても余る。だいぶ集まるの早かったなぁ」


 僕は1人、満足げにつぶやく。

 手に入ったのは、小屋に使ったのと同じ程度の大きさの岩を4つだ。

 岩4つ全部は使わないので、3つは小屋の近くに適当に置いておく。

 ゴーレムも岩をドスン、と雑に置いていく。

 何か後で作ることになった時に、近くにあると探しに行かずに済んで楽だから、小屋の近くに置いた。

 1つの岩を物体操作で操り、細かく分割する。

 岩はなんの抵抗もなく、細かく分かれていく。


 ……さて、まず……箱から作るか。形は同じでいいか


 木の箱と同じ形、同じ大きさの石の箱を制作する。

 手に持つとわかるけど、木の箱よりもかなり重い。

 この石の重さは、木とは違う安心感がある。


「果実の一部をこっちに移動しておこ」


 木の箱から果実の一部を取り出して、流れるように石の箱に入れる。

 全部は取り出さない。

 分けておくことで、被害を分散できるからだ。

 石の箱は燃えない上、木の箱より硬いが、決して破損しないというわけではない。

 箱は同じところに並べず、小屋の両端に1つずつ置く。

 近くだと纏めて、被害を受けるリスクが高い。


「次は水筒」


 次に石の水筒を作る。

 僕は水筒の正確な仕組みなどは知らないので、簡単な円柱型にした。

 簡単な形なら、物体操作で作りやすい。

 飲みやすいように上の方は、細く丁寧に調整する。


 ……このくらいがちょうどいいかな。蓋は……簡単なあれにしよう


 水筒の蓋を作る。

 内部に2個の突起を作り、本体側にその突起に合う溝を作っていく。

 溝の位置に突起を合わせて差し込み、奥まで届いたら軽く横にズラす。

 そして、軽く上に引っ張って、蓋が外れないのをしっかりと確認する。


 ……よし! これで蓋が勝手に外れる事故は減りそう。蓋外れたら零れちゃうから良かった


 僕は次の確認に入る。

 水場で水をくんで放置する。

 水を入れたこの状態でしばらく放置して、問題がなければそのまま使う。

 何かあれば、作り直す。

 遠出用の道具なので、水が入った状態で長時間の使用が前提となる。


「次はどうしようか」


 作ろうと考えていたものは、もう作れた。

 他に、必要なものが思いつかない。

 今、欲しい衣服は石では作れない。

 物体操作なら石で防具のようなものも作れるが、この身体の方が石より確実に硬い。

 石程度では、重りにしかならない気がする。

 防具なら、せめて鉄のような鉱石類。


 ……衣服は無理、住は小屋、食は箱と……


「あっ、ナイフ欲しいかも、昔石のナイフを使ってたって聞いたことがある」


 ナイフがあれば、魚を捌くことができる。

 焼くだけでは、いずれ飽きてしまう。

 調味料や器具がないから料理は無理だけど、生で作れる刺身なら行ける。

 魚以外にも刃物は、焼く際に使う木の枝を尖らせるのにも役に立つ。

 それにナイフは、サバイバルで必需品だと何かで聞いた覚えがある。

 ナイフの刃先を鋭くするように意識して、集中して形を変えていく。

 仕上げの細かい部分も丁寧に行い、時間をかけて石のナイフを制作した。


 ……初めて作ったにしてはいい出来じゃないかな


 近くの草で試す。

 軽く草をつまみ、刃を当てて引く。

 草はスッと切れた。

 切る対象が草とは言えど、これなら十分な切れ味がありそうだ。

 もっとも、あちらの世界の市販品として売られているものに比べたら、大したことのない代物。

 それでも力を込めれば、魚を切れそうだ。

 刃がむき出しのままでは危ないので、木で鞘を作ってしまっておく。

 石のナイフ如きでは、この身は傷つかなそうだけど。


「捌くなら他には……まな板が必要かな。まな板は……確か木だよね」


 手早く木のまな板を作った、これで魚を捌ける。

 他に作るものは思いつかないので、細かくした岩を一度まとめて小屋の近くに置く。

 魚を捕まえて、早速捌いてみよう。

 雑に服を脱ぎ捨てて、水に潜り獲物を探す。


 ……小さい方がやりやすいよね。あの魚良さそう


 とりあえず、やりやすそうな小さいサイズの魚を、近くに来るのを待って捕まえた。

 食べる時に座っていた木にまな板を置いて始める。

 昔、料理の動画で見たやり方を実践してみる。

 もっとも、内容のほとんどを覚えていないので、ほぼ勘で行う。


 ……確か頭を落として……中骨? に沿って切るんだっけかな? えぇっと、こんな感じに……う、うわぁ、汚ったないなぁ


 技術不足と石のナイフの微妙な切れ味が相まって、捌いた魚の身がボロボロになっている。

 骨と身がちゃんと分かれていない、形も酷い。

 ボロボロ過ぎて、見るも無惨。

 余りの酷い有様に、作った僕も若干引く。


 切った部分を軽く火で、炙って食べる。

 見た目や形はともかくこれで味が悪くなる事はない。

 しかし、見た目がボロボロで汚く、食欲があまり湧かないのが欠点。

 恐る恐る食べてみる。


「おぉ! 美味しい」


 丸ごと焼いて食べている時と食感が違う。魚の旨みがしっかりとある。

 身がボロボロのため、食感は刺身より大きい身が残ったなめろうやネギトロなどに近い。

 技術不足は否めない。けれど、見た目はともかく、食感は良いからこれはこれで悪くない。

 食事を終えて、午後の行動を取る。

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