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第14話 忘れられていた岩

 飛竜の姿が見えなくなるまで、見続ける。


 ……よし、居なくなった


 見えなくなったあと、周囲を軽く見渡す。

 木々の一部が燃えて、今も燃え続けている。

 小屋は見事なまでに全焼。

 小屋のあった場所には、燃えた残骸が残っている。


 ……周囲に魚以外の生物はいない


 炎の撃ち合い、竜を投げ飛ばすなど、結構派手な戦闘を繰り広げていた。

 もし近くに人がいれば、戦闘音に気づいて接近していてもおかしくない。

 しかし、人もオオカミも特には見えないため、姿を人型に戻す。


 ……なんか身体が重くなった感じがする


 人型に戻った瞬間、全身に重りでもつけたかのように、突然身体を重く感じる。

 少しだけ動きづらい気がする。

 本来の姿に変わった際、すごい身体が軽く感じていたことも関係あるのだろう。


「人型は擬態、本来の姿とはかけ離れているから動かしづらいのかな」


 龍形態と人形態では、サイズや形が違いすぎる。

 やっぱり本来の姿である龍の身体の方が、動かしやすいのだろう。

 ただ普段使いは、人型の方が楽そうに感じる。

 戦いに巻き込まれず、無事だった服を拾って着た。

 もし巻き込まれて焼かれてたら、裸で過ごすことになっていた。

 その後に、物体操作で水場の水を操る。

 ふよふよと水の塊が浮く。

 浮遊した水を、燃えている木にかけて消火を行う。


 飛竜の放つ炎を止めるほどの量や長距離操作は無理。だけど、水場の近くの燃えてる木を消火できる分の水は操れる。

 小屋は見た時点でかなり燃えていたのと、戦闘中だったから、手早い消火が無理だった。

 何度も同じ事を繰り返して、火を小さくしていき消火を完了させた。

 続けてゴーレムを操作し始める。

 小屋が燃えたので、また作らないといけない。

 作らないと野宿、それも寝具やテントも無い状態。


「とりあえずまた木で作る……うーん、他の材料集めたいな。燃えない材料……土は燃えないけど……耐久性が心配になるなぁ」


 木を集めるのは、ゴーレムに任せて考え始める。

 また同じようなことがあったら困る。

 今回は作ったものが本当に最低限だったため、すぐ作り直せる。

 けれど、様々な道具を作った後に燃やされたら、作り直すのはかなりの手間になる。

 木をなぎ倒してせっせと一生懸命運んでいる石のゴーレムを、ちらっと見てハッとする。


 ……あっ、石……そういえば岩があった


 3体のゴーレムのうち、2体は岩で作っている。

 岩なら炎で燃えない。

 実際、飛竜の炎を受け止めていた。

 この付近にあった岩がゴーレムに使った分しかなかったこともあって、候補から自然と抜けていた。


 周囲を今一度見渡しても、ほかに岩はない。

 ゴーレムを崩して、再利用すれば問題はない。

 けれど、現状使える木や土で作るより岩のゴーレムの方が安心感がある。


「確かここに来る前にも岩は見かけた」


 水場を見つける前、僕は一度、岩に座って休憩をしていた事を思い出した。

 ただ、あの場所は覚えていない。

 ゴーレムに使ったものは、水場の近くにあった岩。

 それなら他にも、近くで見つかる可能性が高い。


 ……岩を探して見つけたら小屋に混ぜよう……それに岩を見つけ出せたら水を運べる


「止まれ」


 木を運んでいる3体のゴーレムを止めた。

 木をその場において、ゴーレムは動きを止めた。

 3体とも、岩探しに同行させる。

 一気にいくつかの岩をまとめて運びたい、さすがに1人でそれは難しい。


 3体のゴーレムが居れば、一気に複数運べる。

 森の中に入って岩を探す。

 岩は色や形が草木とは異なるので、森の中でもかなり見つけやすい。


「岩と……あと果実も集めないと」


 森の中で、集めるべきものを考える。

 まず燃え尽きた数日分の果実の代わりを集めないとならない。

 今は、今日食べる食料もない。

 何とか果実の形や色を、覚えているのが救い。

 前回作ったものと同じ木の箱を製作する。

 そして果実を見つけ次第、果実を詰め込んでいく。


 ……これと……これ、あれは無理、これは酸っぱかった奴……他には


 食べられるけど、不味かった果実は放置して、一つずつしっかり確認して選別する。

 食べられる果実でも、虫食いがあったり、見た目が悪いものは取らない。

 そういう物は危ない。

 しばらく歩いたあと、大きな岩を見つけた。

 かなりの大きさ、ゴーレムに使った岩より大きい。

 軽くぐるっと周りを見て、全体を確認する。


「なかなかの大きさ、だけど小屋には足りないかな」


 小屋は、大きく作りたい。

 雨風をしのぐだけでなく、これから色々と生活に必要な道具も作るだろう。

 だから、多少は余る程度の大きさが欲しい。


 ……岩だけじゃなくて木も使うけどあるに越したことはないか。もう少し見て回ろう


 土のゴーレムと石のゴーレムが協力して、見つけた岩をよっ、と持ち上げる。

 そして、仲良く運び始める。

 それから30分森をさまよい、2つほど程よく大きい岩を見つけた。

 1つは石のゴーレムが持ち、もう1つの比較的小さい岩は自分で抱える。

 そこそこ重量はあるけど、軽々と持ち上げられた。


 岩を抱えて、水場へ向かう。

 これで新しい小屋の材料が集まった。

 もし岩が余ったら、近くに置いといて新しい道具に使えばいい。

 水場に着いて、岩をゴーレムが木を集めていた場所の近くにドンッと置く。

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