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第135話 取引用の魔法

「おはよう……」


 カミラが起きて、水で顔を洗っている。

 家を作った丁度良いタイミングで起きてきたようだ。


「ちょうどいい、軽く確認をして欲しい」

「確認? 治療の?」

「家の方」

「家? ……あれもう出来たの?」


 カミラは家を見て少しだけ表情が動く。

 あまり大きく動いていないせいで、どういう表情かはいまいち分からない。


「まぁ、家と言っても小屋と形自体は変わらないから、望みの物とは違うかも」

「見た目はなんでもいい」

「なら良かった」


 僕は安堵する。

 これで見た目も色々注文あったら、望みのものが作れるか分からなかった。


「薬草棚も確認して欲しい」

「わかった」


 カミラを、中に案内する。

 内部は床も、壁も、木材で作ってある。

 そして、壁に薬草を置ける棚をセットした。

 今のところは薬草棚だけ、他の注文があれば増やす予定でいる。

 壁と一体化しているから倒れる心配はなく、4列で横に大きく作った。


「薬草棚はこんな感じでよかったかな?」

「十分、ちょうどいいサイズ感」

「机に置いてた薬草のサイズを参考にした」


 こっそりカミラが持っていた薬草のサイズを、確認していた。

 何かあったらまずいので、触れてはいない。

 そして、そのサイズに合わせて作った。


「賢い」

「賢いだろう」


 僕はふふんと自慢げに鼻を鳴らす。


「それと家の場所はここでいい? それとも畑を作るつもりのあちらか」

「こっちで大丈夫、畑の方はあまり行かない」

「そうなんだ」

「毎日の観察には時間かからない。収穫の時は少し時間かかるけど、薬草は大量に育てるつもりは無いから」

「そうなんだ。広めに使ってもいいけど」


 僕は多くの植物を育てるつもりが無いから、全然使ってくれても良かった。


 ……それならちょっと多めに育てるのありかも、循環用は少し多めくらいが安定しそうだし


「量を増やしても1人だと管理が難しい。薬草は種類も多いから」

「あぁ、確かに」


 大量生産の問題は管理だ。

 1人で管理出来る量は限られている。

 植物の中には雑に育てても育つ物もある。

 しかし、基本はしっかり管理しないと枯れたり、上手く成長しない。


「薬草を移動させる。ありがとう」

「取引だ。気にするな。他に必要な道具で作れるのあったら作るから言ってくれ」

「なら机と椅子、長机が欲しい」

「了解、それなら直ぐに作れる」


 長机と椅子をパパっと作って、中に並べる。

 カミラは、薬草棚に早速薬草を置いている。

 薬草の独特な匂いが香ってきた。


「こっちでも泊まれるけどどうする?」

「あっちで泊まりたい。ダメ?」

「いや、構わないよ。ちょうどいいし少しだけ小屋大きくしようかな」


 木材を集めて、少しだけ大きくする。

 3人がしっかりと住めるスペースを確保した。

 自分の荷物を端っこに集めておく。雑に置いていたから邪魔になりそう。


 ……鉱石はまだ余裕ある。地龍が運んだ分が思ったより多かったな


 白銀の鉱石にまだ余裕がある。

 足りなくなる前に、調理器具も作っておく。

 まだ使わないけど、フライパンとヘラを作った。

 赤い鉱石で包丁を作る。

 調理器具は大きめな箱を作って仕舞う。


 ……虫食いあったからしばらくは無理だからなぁ


 季節が変わる前に育つか微妙なライン。

 そもそもまだ害虫対策の薬草も植えられていないから、厳しいかもしれない。


「さて、魔法を作ろう。シク、手伝って」

「収納魔法か。亜空間か?」


 シクがヌルッと現れる。

 しかし、イオラや薬草のために往復しているカミラはシクの存在に気づいていない。

 前に言っていた通り、見えないのだろう。


「亜空間だと魔力消費高いでしょ? 僕じゃなくて彼女が使うものだから」


 魔力の消費が多くても龍の魔力なら余裕だ。

 でも今回使うのはイオラ、つまり人の魔力量で考えないとならない。


「ならば物体にか」

「その予定、ただ遺物とは違うから大きな収納は大きさが必要になる。小さくても隠すのは難しい」

「仕方あるまい。魔法は万能では無い」


 悩む、どうするべきか。

 収納魔法それも複数枚収納出来て、他の人にはバレないもの。

 物体、亜空間、入るスペース。


 ……これなら行けるかも、ただ制限が多い


「イオラ」

「どうしたんだい?」

「収納魔法の案を考えた」


 イオラは驚きたように目をぱちくりとさせる。

 その後、悩み出す。

 相当、驚きの魔法らしい。


「本当にいいのかい? こちらとしてはその制限ありでも構わないけど」

「僕は使わないから、それに形的にも向いてる。それで距離の制限は構わないのか?」

「君がいいなら良い。相当離れていない限りは消費は少ないから問題ない」

「ならこれで作る」

「定期的に先生に検診してもらわないとね」


 そうして、僕を起点とした収納魔法を作った。


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