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第130話 帰還

「では移動しようか。善は急げ」

「薬草を売っているから、すぐには無理じゃないの?」

「大丈夫、買ったのは騎士の1人、すぐ移動出来る」


 カミラは、薬草類とテントを大きいバックパックに詰め込んで抱える。

 結構バックパック限界まで詰め込んでいる。ただ薬草は丁寧に入れている。

 重さがありそうなのに、平然と持ち上げている。


「それ重くない?」

「遺物あるから大丈夫」


 カミラはそう言って、腕を見せてくる。

 腕には赤色の細い腕輪が付いていた。

 これがカミラの保有する遺物なのだろう。


 ……力関係の遺物か、大荷物を運ぶのに便利だな


「どうやってその量持ち運んだのか気になっていたけれど、重力の腕輪か」

「重力?」

「物体にかかる重力を減らせる。バックパックにかけると中身にも効果が適用される」

「それは……すごい便利な腕輪だね。なるほど、力関係の強化ではないから、本人の身体能力に依存しないのか」


 カミラは身体能力、移動に使う体力や足は強そうだけど、腕力は高いようには見えない。

 足もスラッとはしているけど。


「そう、便利」

「珍しい遺物だ。数十黄塊程度の価値はあるはずだ」


 ……つまり、この服と同じ価値か


 数十黄塊となると無貌と同等くらいの遺物。

 確かに、色々な場面で使える遺物、欲しい人は多いだろう。


 集落を出て崖に着く。


「荷物持つよ。重くなくても登りづらいでしょ」

「ありがとう」


 カミラから荷物を受け取る。

 色々と入っているから重いけど、岩より全然軽いため、余裕で持ち上げられる。


「遺物使う?」


 カミラが腕輪を外そうとするのを制止する。

 首を横に振る。


「いや、この重さなら必要ない」

「重いはず」

「僕は龍だからね」


 僕は荷物を抱えて壁を駆け上がる。

 コツを見つけたおかげで壁を蹴って、飛び上がれるようになった。

 早いし楽だ。


「おぉ」

「これを駆け上がるかぁ。てっきり翼を使うのかと思っていたよ」

「ちょっとした運動」


 集落付近では翼を出したくない。


「私たちはこちらから行こう」


 2人はロープを使って登っている。

 登る時は、降りる時より時間がかかる。

 上で待機して待つ。

 2人が登りきり、カミラが荷物を運ぶ。

 自分で運びたいらしい。

 案内するまでもなく徒歩で着く。

 カミラも一度小屋のところに来ていたから覚えているのだろう。


 小屋に着いて、小屋の中に案内する。

 新しく椅子を作って置く。


「ひとまず荷物は机の上に置いていいよ」

「ありがとう」


 机の上をササッと綺麗にする。

 カミラは小瓶や薬草を机の上に並べていく。


「滝の反対側にどうやって行くんだい?」

「……あっ」


 手品師に言われて思い出した。

 渡る手段がない。

 僕は翼があるからどうにかなるけど、カミラはそうは行かない


 ……カミラ用の小屋をあっちに作ればとりあえずは問題は無いけど……


 こっち側は戦場になりかねないから、反対側に作った方が安全ではある。


「移動手段なら、橋を作ろうかな」

「作れるのかい?」


 ……一気に扱える大きさは増えた。だから半分に分けてくっ付けたら行けるかな


 物体操作を魔力で強化して、ゴーレムに左右から橋を支えて貰って繋げれば行ける。


「ゴーレム、木を集めて」

「手伝えることはあるかい?」


 手品師は聞きに来る。

 僕は少し考えるが、特に思いつかない。

 僕の考えているやり方はゴーレムで足りる。


「うーん、特にはないかな」


 火で軽く葉水用の葉っぱを炙って水に浸けて、ササッと2人分のコップを作る。

 果物の入った箱を渡す。


「時間かかるから、食べていいよ。あと葉水出来たら飲んでいいよ」

「ではお言葉に甘えて待たせてもらうとしよう」


 僕は小屋を出て集まっている木材を、物体操作で操って橋の作成を始める。


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