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第128話 翌朝

 早朝に目を覚ます。

 欠伸をして、ゆっくりと身体を起こす。

 まだ意識が覚醒しきらず、寝ぼけている。

 簡単に身体を動かして確認をする。


 ……ふむ、気だるさはないな


 昨日感じていた、気だるさはない。

 夜のうちに、薬の効果が効いたのだろう。

 まだ微妙に眠いので、湖に顔を洗いに行こうと立ち上がった。


「おや、おはようさん」

「うん、おはよう……」


 手品師に挨拶をされて、反射的に挨拶をする。

 隣を通り扉へ向かう。


「どうしたんだい?」

「眠いから顔洗いに」

「あぁ、それならバケツに水汲んで、外の扉の近くに置いてあるから使うといいよ」

「助かる〜」


 小屋の扉を開けてキョロキョロと探すと、水の入ったバケツを見つけた。

 手を入れると冷たい水が体温を奪い冷える。

 水を掬って、顔に掛ける。


「冷たっ!?」


 ビクッと身が震えて目が覚める。

 軽く拭いてから戻り、箱から果実を取り出す。

 むしゃむしゃと食べ始める。


「食べ物は?」

「携帯食を持っているから大丈夫」

「そうか」

「椅子使っても?」

「どうぞ〜」

「助かるよ」


 僕も椅子に座り食べる。

 食べ終えてササッと集落に行く準備を始める。

 翼とウロコを仕舞い角を帽子で隠す。

 これで知らない人からは人に見える。


 ……集落の人にはワンチャン見られてるから、気づかれるかもなぁ。会わないようにしないと


「よし、準備は出来た。行こうか。彼女は集落の端で簡易的なテント立てて暮らしてる」

「簡易的なテント? 危険じゃない?」


 よく女性の1人歩きや1人行動と言うのは、危険だと言われる。

 この世界が治安がいいか、悪いか、分からないけれど、警戒するに越したことはない。

 彼女は身を守る手を持っているか、分からないのも心配な理由だ。


「危険ではある。ただ心得はあるはずだよ」

「それもそうか」


 1人で旅をする際の心得は、彼女も持っているだろう。

 遠出も今回が初めてではないと思うし部外者が口出すものでもないだろう。


「それに護身用のカードは渡してある」

「そうなんだ」

「そういう君こそ1人じゃないか」

「僕は人じゃない。前提が違う」

「そうかな」

「走る」

「そうだね。早い方がいいかな」


 集落まで走って向かう。

 徒歩では集落に着くのは、4時間かかってしまう。

 だから走る。

 身体強化の能力を使い駆ける。

 走れば早く着く。

 手品師も後ろを付いてきている。

 僕ほどの速度は出せていないけれど、早い。


 ……早いなぁ。身体強化の魔法かな


「早いな」

「身体強化の魔法を使っているからね」

「戦いでも?」

「使ってはいた。これとは違うものだけど」

「なるほど」


 崖を飛び降りる。

 手品師はロープを使って、器用に降りている。


 ……ロープなんてあったのか、知らなかった。あぁ、でも考えたらそうか


 登る時にゴーレムを使ってや身体能力でなんて、全員が全員出来るわけじゃない。

 ロープを使い昇り降りをしている方が自然だ。

 集落の入口に向かう。


 ……門番がいるかぁ……どうしよう


 入口部分に武器を持った人物が立っていた。

 見た目は騎士ではない、恐らく冒険者だ。

 悩む、バレないと思うけどバレたら一大事だ。


「ここはお任せを……ご苦労さま」

「おぉ、手品師の、集落に来てたのか」

「そうだよ。ちょっと用事があってね」

「そうだったか」


 手品師が軽く話して中に入る。

 僕はそそくさと中に入ろうとする。

 その際、冒険者と目が合う。

 心音が高まる。

 バレたらどうしようと心の中で焦る

 しかし、特に何も言われずに通れた。

 少し離れた後、ホッと安堵する。


 ……なんでバレなかったんだ?


 手品師は、僕の表情を見て答える。


「大方私の助手とでも思われたのだろう」

「あぁ、なるほど」


 手品師に助手がいるイメージはある。

 そう思われたら不思議には思わなそうだ。

 彼は手品師がここに来てることを知らなかったようだから、1人で来たことも知らないはずだ。


「彼女のテントはこっちだよ」


 手品師に案内されて、薬草師が住んでいるテントの方へ向かう。

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