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第122話 治療魔法の欠点

「細菌が残ってる?」

「治療系の魔法は再生、再生は早い代わりに傷口の異物を除去は出来ない……はず」

「そうなのか」


 魔法で傷を治療しているから、その辺も大丈夫だと勝手に思っていた。

 でも、よく考えたらカミラの言うことに納得出来る。

 僕は自分で魔法を作っている。だから、傷を治す仕組みは作っているけど、異物や汚れを除去する仕組みは組み込んでいないと知っている。


 ……僕の魔法は確かに除去する機能は無い


「魔法過信危険、早めの薬草での治療が必要、魔法は便利だけど万能じゃない」

「……それは魔法にもよるんじゃないのか?」

「……確かに?」

「魔法の性質上、複数の効果を乗せると魔力の消費が跳ね上がる或いは効果が落ちる。だから基本的な治療魔法には除去する機能は無いんだよ」


 手品師が答える


「あぁ、確かになるほど」


 ……なら別で除去する魔法を作るべきなのか


 この体調不良の原因が細菌が体内に残っていることならば、対する魔法も作るべきだろう。


「早めの治療大事、数日しないで悪化する」

「確かにこの手の物は処置が早い方がいいが、薬草でこれをどうにか出来るのか? 細かい物体の除去などは出来ないよね?」

「細菌などの無害化は可能、無害化さえしたらひとまず安心、除去は――魔法か物理的に取り出すしかない」

「それなら纏めて魔法でも」


 薬草だけでは除去が出来ないのなら魔法を作ってしまった方が手っ取り早い気がする。

 無害化は大事だけど、それも魔法で作れそう。

 除去系は、治療と違って急ぎで使う魔法ではないから、複数の魔法で行えばいい。

 数日中には作れないから今回は無理だが。


「一度付着した細菌は、除去の魔法でも取り除くのは困難。周囲の組織、最悪、血中に取り込まれてるから異物として認識するには高度な魔法になる……はず?」


 最後に首を傾げている。

 多分、魔法には詳しくないのだろう。


「補足すると複数の魔法を重ねるか、無害化、除去、サーチ系の効果を持つ魔法。混ざっている場合は、分離して取り除く魔法と細かい状態把握の出来る魔法が必要になる。無害化も対象を選択する魔法が多いから作れても実用が難しい」


 手品師は、言葉以外でも分かりやすいように、素早く手を動かして3枚のカードを手元に用意する。

 それぞれのカードを、魔法に見立て説明をしている。


「つまり――薬草で無害化すると取り除くべきなのは細かい物体だけになって魔法の難易度が下がると?」


 何となく分かった気がする。

 普通に魔法を使う場合は高度の魔法が必要になるけれど、薬草と併用した場合、高度な魔法でなくても済むようになる。

 そう考えると、薬草を使った方が楽そうだ。


「その通り」

「急な話、緊急及び初回なことも含めて料金は要らない。でも、検査と治療はさせて欲しい」


 真剣な面持ちで、グイグイと来る。

 相変わらず2人とも敵意は無い。

 それに今から魔法を作るとしたら、数日中では間に合わない。

 それに、薬草の実用性も気になる。

 無料で専門家の検査や治療が受けられるチャンスはそう来ない。

 ましてや、僕は基本的に人と関われない立場、珍しいどころか二度とない可能性すらある。


「分かった。お願いする」


 異世界の薬草専門家の技術を見れる良い機会。


「小屋の中は使ってもいい? 外でする物ではないから」

「良いよ。椅子はあるけど、他に必要なものあれば簡易の物なら作れる」

「使う小瓶を置く机が欲しい」

「小さい物なら」


 2人を小屋の中に案内する。

 2人用の椅子を並べて机も横に置く。

 対面するように自分が座る用の椅子に置く。

 検査なら対面が良いだろう。

 カミラは小瓶や薬のようなものを、慎重に机に優しく並べていく。


「私は補助をするよ。先生なんの準備が必要?」

「水の準備を、後、念の為の拭く物も」

「タオルなら持ってる。入れ物ならバケツくらいのサイズかな」


 石でササッとバケツ型を作る。

 出来るだけ薄くすることで重さを抑える。


 ……厚みはこのくらいかな


 薄すぎたら水に耐えられず壊れる。ちょうどいいラインを探る。


「おぉ、凄い力だね。物体に作用する力か」


 手品師がバケツを持って水を汲みに行く。

 重いようで少し苦労している。流石に石のバケツは人にとって重いのかもしれない。

 椅子の隣に水入りのバケツを置く。

 手品師は汗を手で軽く拭う。


「想像より重労働だったよ……」

「準備できた、始める」

「お願いするよ」

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