表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/139

第119話 新しいゴーレム

 少し扉を開ける。

 来客は嶺二だった。

 扉を開いて中に案内する。


「バッチリのタイミングだったか」

「バッチリ?」

「なんか用事で小屋離れてたんだろ?」

「よく知ってるね。あぁ、大和?」


 地龍の住処に行く途中で、大和と会っていた。

 その時の話を嶺二にしたのだろう。

 あれから時間が経っているから、嶺二が国の方に戻っていれば話す機会はある。


「あぁ、そうだ、国の方に1回帰った時に話してな。何かあったのか?」

「ちょっとした野暮用、それで何用?」


 地龍の件はもう終わった。

 嶺二、いや、龍嫌いの国に所属する勇者に伝える内容ではない。

 この内容は、大和にも伏せたい。


「あぁ、鉱石運んできたんだよ。ちょっと多めに集まったんだが」

「多め……6体分ある?」

「あぁ、ギリギリ足りるんじゃないか?」

「おぉ、それは有難い」


 6体分あるなら嬉しい。

 ゴーレム5体は、地龍の王戦用だった。


 でも、操作出来るゴーレムは6体だ。

 6体分の鉱石があれば、集落に居るゴーレムの分も合わせて全員強化が出来る。

 それはかなり大きい。

 岩に比べてかなりの戦力増強が期待できる。


「早速、使わせてもらう」


 小屋の外に出て鉱石を確認する。

 騎士達の手で大量の鉱石が運び込まれている。

 鉱石の色は、白色だ。

 ただ汚れが目立ち、くすんでいてあまり良い色には見えない。

 まぁ、重要なのは、見た目じゃない。


「勇者様、運び込み完了しました!」


 1人の騎士が嶺二の元に報告に来る。

 どうやら、運び終わったようだ。


「助かった。ありがとう」

「いえ、では我々は集落に戻ります」

「途中で休憩を挟んだ後、集落に戻るぞ」

「はい!」


 騎士たちは、集落の方へ歩いていく。


 ……これはなんの鉱石だろう


 地龍から貰った鉱石とは色から違うものだ。

 どんな性能の鉱石なのだろう。

 知っていて集めたであろう嶺二に聞く。


「これはどんな鉱石?」

「盾や要塞などに使われる物で頑丈さが売りらしい。名前は白明鉱(はくめいこう)だったかな」


 少し記憶を思い出しながら、嶺二は答える。

 集める際に色々と聞いたのだろう。

 必要な鉱石を選んでくれたのは有難い。

 頑丈さはゴーレムに1番欲しい物だ。


「名前は……白明鉱か。覚えた」


 ……頑丈なのは有難いな。


 物体操作を使って白明鉱を操作する。

 岩のゴーレムを崩して、白明鉱を1箇所に纏めてゴーレムを作り出す。


「こうやって作ってるのか」

「そう、龍の能力でね」

「なるほど、そりゃ便利だ」

「かなり便利」


 僕は、自慢するように言う。

 本当に便利な能力だ。


 ゴーレムが完成した。

 綺麗な白色の身体を持つゴーレム。

 石のゴーレムよりも重厚感がある。

 見た目から頑丈そうな印象を受け、どことなく頼もしさがある。

 続けて、5体のゴーレムを作り出す。


「後は残りがどのくらいか……」

「果たして足りるのか」


 白明鉱を確認する。

 するとちょうど1体分程度の量が残っている。

 これなら、集落のゴーレムも変えられる。


「あっ、ちょうど良いしサービスするかな」

「サービス?」


 ……頑丈としか聞いてないけど


 白銀の鉱石を操作して、簡単な剣を作り出す。

 ゴーレムに合わせたサイズなので大きい。

 武器に向くかは分からないけれど、これで戦力アップ出来るだろう。


「普段は腕に収納、戦闘時のみ剣の使用を許可、使用相手は人、龍以外」


 ゴーレムに命令を出す。

 能力強化によって、ゴーレムへの指示に少しは融通が効くようになっていた。

 普段は片腕にしまっておく事で、集落の人々に威圧感を与えない。

 そして、必要な時に抜いて戦える。


「このゴーレムを集落に置く。待機させてある石のゴーレムと入れ替える」

「良いのか?」

「そのつもりで6体分持ってきたでしょ?」

「ありゃ、バレてたか」


 嶺二はわざとらしい言う。

 僕は嶺二に操れるゴーレムの数は、明確には伝えていなかった。

 でも知っている可能性はあった。大和だ。

 大和ならば、僕が引き連れていたゴーレムの数を覚えていても不思議じゃない。

 そして、嶺二に聞かれたら普通に答える。

 そこからは簡単、5体連れていて1体集落なら最低でも6体とすぐに計算が出来る。


「まぁどちらにしても有難いからいいけど」

「時間はあるか?」

「あるよ」

「それなら良い。つい昨日に、集落に来た手品師と薬草師の話をしたくてな」

「おぉ、手品師、居るのかこの世界にも」


 僕はその話に食いつく

 小屋の中で椅子に座って、葉水を飲みながら嶺二の話をメインに雑談を交わす。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ