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後藤信二の兄
ブ~ンブ~ンブ~ンブ~ンブ~ンブ~ン
と、信二のスマートフォンが鳴った。
「誰からだろう?もしもし信二です。あっ、七之助アニキ…」
「信二か、七之助だ。今、お前にちょっと時間があるか?」
信二は驚いた声で答えた。「もちろん、アニキ。どうしたんだ?」
七之助の声は重く、深刻な様子だった。「実はな、高橋衛の両親がとうとう75歳になってしまったんだ。彼らが施設に行かなくてはならない日が来たんだよ。」
信二の心は一瞬凍りついた。「そんな…高橋さんの両親が…」
七之助は続けた。「今夜、衛がどうしてもお前に会いたいと言ってる。彼の気持ちを支えてやってくれないか?お前がいてくれると、彼も少しは安心するだろう。」
信二はすぐに答えた。「もちろんだ、アニキ。衛のためなら何でもするよ。今から向かうよ。」
電話を切った信二は、急いで支度を始めた。彼の心には、友人のためにできることを全力でしようという強い思いが渦巻いていた。