性転換と性転換
私は渡辺日向。
好きなことはゲームに読書。嫌いなことは名前で性別を間違われることだ。たまにある。
そんな私は、とある能力を持っている。性転換の能力だ。
性転換。性別の転換。私は男にも、女にもなれるようになれるのだ。
もちろん生まれてすぐそんな能力を持っていたわけではなく、最初、私は女だった。
だが、夢で神に能力を授かり、今だ。
そのせいで私は性器と性別を失い、能力を使っていない間は中性の体になる。
男の姿になれば股から棍棒が暴れ始めるし、女の体になれば胸からスイカが生まれる。
因みにスイカは前の私のものより大きい……。
そんなことはどうでもいい。
私は状況によって性別を変えているのだが、学校では男。
そんな私には、一つの悩みがある。
先日、『明日クラスのみんなで遊ぶから来いよぉぉ!』とか陽キャの男子に言われたことだ。
私も陽キャなので、行くことに抵抗はない。
だが、私はこの状況を嬉々として考えている。
そう、正体を明かそうと考えているのだ。
先生がいない。クラスの全員が友達。絶好の機会だ。
この能力がバレてしまうのは仕方ないが……この計画をする理由が一つある。
好きな人ができたのだ。
相手は男子。私も男子。このままでは叶わぬ恋になってしまう。
しかも一ヶ月後には卒業式が控えている。
今しかない。
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当日。
私はパジャマを脱ぎ、裸のまま性転換の魔術を行使する。
「シューーー」
体が音を立て、胸が膨らんでいく。今の私は乙女だ。
そして用意していた服に着替える。すこし胸元が開けているようにも感じる。だがそれでいい。
靴を履き、とりあえず変装用の帽子を被り、ドアに手をかける。
「行ってきます」
準備は満タン。いざ、決戦の地へ。
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決戦の地はフードコート。
みんなは午前も遊んでいたみたいだが、私は途中参加。
正直、彼とずっと遊んでいたかったが……セットの時間もあったからしょうがない。
これから彼と濃密な時間を過ごすのだから……おっとニヤニヤしてきた。
さて、彼、いや、みんなはどこかな……ん?
「えーいいじゃぁーん!!」
「もーそんなくっつかないでー」
気持ちの悪い声が聞こえる。いや、気持ち悪いとか言ってはいけない。だが彼氏のできたこと無い私としては正直鬱陶しい……。
ていうか聞き覚えのある声な気がする。
「えーひどいー」
語尾にハートマークでもついてそうなセリフ。
あ、この声、同級生のだ。ぶりっ子の。自己中で一人称が自分の名前の。
相手の声は知らないが、聞き覚えがあるような……。
「おーい葵、イチャコラしてんなよ」
「え?」
……思わず声を出してしまった。この声って陽キャ男子の……? いや、まず葵って……。
「ん? 誰?」
「え?」
「誰でごわす?」
「ダレナノ!? アンタ!?」
マズい。気づかれ……。
「「え?」」
ぶりっ子とイチャコラしてた女と目があった。
いや、こいつは女じゃない。見覚えがある。修学旅行で裸を見たこともある。
だが、その時の体とは、まるで違う。
「葵……?」
坂岡葵。それがこいつの名だ。いや、こいつなんて他人行儀な言い方をするべきではない。
私がこんなおめかしをしてここに来た理由は彼……彼女……。
「日向か?」
葵も気付いたようだ。
ならば聞くことは一つ。
「「性転換?」」
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先にみんなと合流していた葵は性転換の能力を明かしていたらしい。
だが彼も性転換の能力を持っているとは驚いた。
あの後なんだかんだあった私と葵は転校し、別に付き合うってことはなかった。
能力のことも特に世間に公表されることもなく、スッと終わった。
私は今、男の姿で生活をしている。
隣には某ぶりっ子。順風満帆な生活だ。
百合展開ではない。