絵に描いた猫
画面越し
猫のあくびが
うつる朝
平日の朝五時四十分、目覚まし時計のけたたましいアラーム音でいつも通りに目を覚ます。
眠い目をこすりながら歯を磨き、髭を剃り、いつもと変わり映えのしない朝食を用意する。
オートミールをひと皿とバナナが一本、そしてインスタントコーヒー。
面倒くさがりな私はそれらをキッチンで、毎日立ったまま無心で食べる。
オートミールを口に運ぶ手が止まり、ため息が出た。
……癒しが欲しい。
最近は特に強く、そう思うようになった。
スマホを開き、流れるように動画アプリで猫の映像を見漁るのだ。
スプーンを咥えたまま画面をフリックしていく。
料理、犬、料理、スポーツ、無断転載、無断転載、料理。
何度か繰り返して、やっと猫の動画にたどり着いた。
この投稿者、もともと猫を飼っていたところに加え、子猫を保護したらしい。
ミーミー、ニーニーという子猫特有の鳴き声がスピーカーから流れてくる。
先住猫は何をするでもなく、ただ子猫に寄り添って寝そべっている。
平和だ。
あぁ、アレルギーさえなければ、私もこの平和を肉眼で享受できるというのに。
先住猫がひとつ、大きなあくびをする。
私もそれに釣られて、大きなあくびが出てしまった。
……仕事に行くか。