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私の嫌いな最頂点の幼馴染  作者: キノシタ
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第9話

闇属性・月族の私は何より注目されることが苦手だ。圧がある視線は特に苦手で瞳の奥の気持ちを読み取ろうとしてしまう。

水瀬さんが自分の教室に戻り、取り残された私は必死に平常心を保とうとした。


あの人は太陽族だけど影が薄い人…

携帯の画面は金色のビーナスだけど普通の人





「千紘、これから大変だね…」


「やだー」


「大変な人と仲良くなっちゃったね」


涼ちゃんが同情する表情で私を憐れむ。本当、最悪だ。何で私だけがこんなめに…

それに、水瀬さんってそんなに人気あるの?名前は知っていたけど一生関わらないと思っていた存在だったからよく知らない。


「ねぇ、水瀬さんってどれぐらい人気あるの…?」


私は小さな声で涼ちゃんに水瀬さんのことを聞く。だって、あの人「あ゛ぁ…?」ってドスの効いた声を出す人で元ヤンだし。


「めちゃくちゃ人気あるよ。バスケ部だし、あの見た目だよ?人気あるに決まってる」


「凛とどっちが人気…?」


「同じぐらいじゃないかな?」


「嘘でしょ…」


水瀬さんは見た目も派手だから(私がそう見えているだけね)分かるけど、凛も同じぐらい人気なんて聞いてない!最悪じゃん。


「太陽族+バスケ部はコンボで強すぎる…」


「そんなに項垂れないの」


「涼ちゃんは他人事だからだよ!」


「他人事だもん」


もう嫌だ、家に帰りたい。今も私の方をチラチラと見るクラスメイトの考え(妄想)が私の脳にビュンビュンと入ってくる。


何であんな地味な子と水瀬さんが…

地味っ

眼鏡っ子

おカッパ


やめてくれ…私だって太陽族の水瀬さんと釣り合わないと分かっている。

私の髪型はおカッパじゃない…ボブだ。それに眼鏡がないと黒板が見えないの!


そんな妄想と戦いながら私の時間は過ぎていった。お陰でノートは真っ白で…体力は使ってないのに脳がフル稼働で疲れた。

自然とおでこが机に引っ付き目を瞑る。既に1日の限界値を突破してしまっており、家でゴロゴロしたい、ゲームしたい…


「佐藤さん」


急に名前を呼ばれ、体が怠いけど顔を上げる。目の前にはまた水瀬さんがいて…すっかり忘れていた。教科書を貸していたんだ。


「はい。ありがとう」


「いいえ…」


またクラス中の視線が私と水瀬さんに集まる。水瀬さんが全く気にしてないのがずるい。私は気になって仕方ないのに不公平だ。


「これ、お礼」


「えっ?」


「チョコが好きだって聞いたから」


「ありがとうございます…」


水瀬さんからチョコレートを貰い、驚いたけどめちゃくちゃ嬉しい。私は小さい頃からチョコ命で、世界一美味しい食べ物はチョコレートだと思っている。


「じゃあね」


「はい」


みんなの視線など気にせず、自分のクラスではない教室を優雅に歩く水瀬さんは神経が図太く、最強の鉄のハートの持ち主だ。

私だったら他のクラスに入るなんて絶対に無理だし、視線が怖いし、「誰?この子?」っていう圧を感じてしまう。


これが太陽族の証。周りを気にせず、周りの圧を吹き飛ばす。いや、寧ろ…堂々とした姿にみんなの視線を奪っていく。

でも、そのせいで私と水瀬さんの関係値が勝手に作られ私まで視線が集まる。


「ねぇ、水瀬さんと友達なの?」


ほら来た!水瀬さんとの関係値は0なのに関係がある風に勘違いされている。


「違うよ…」


「でも、教科書借りに来たし」


「それは…ただ知り合いってだけで(友達ではない!)」


「ふーん、そうなんだ」


私に声を掛けてきた女の子は水瀬さんと雰囲気が似ている太陽族風の女の子で、見た目は太陽族だけど、水瀬さんに声を掛けないから太陽と月の間の星族(普通の子)だろう。


うわぁ…最悪だ。男子もチラチラと私を見ていることに気づいてしまった。この学校は水瀬さんにお近づきになりたい人が多すぎる。


「そう言えば、佐倉さん…」


星族の女の子が凛の名前を出した時、心臓が爆発しそうなほど緊張が走った。

でも、タイミングよくチャイムが鳴り話が途切れる。勉強は嫌いだけど、今日ほど次の授業が始まれ!と思ったことはない。


みんながそれぞれ席に座り、私はみんなに見えないようにため息を吐く。疲れた…

でも、二限目が終わったらダッシュで教室から逃げてやる。私は水瀬さんのことを全く知らないし、凛との関係を知られたくない。


中間業者なんて絶対に嫌だー!

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― 新着の感想 ―
[良い点] こういう陰キャと陽キャの百合めっっっっっっちゃ好きなんですよねぇ… 素晴らしい小説をありがとう…
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