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私の嫌いな最頂点の幼馴染  作者: キノシタ
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第8話

いつもどおりの朝…



を迎えると思っていたのに、靴箱に凛が立っており私を待ち伏せしている。


「ちーちゃん、おはよう!」


「おはよう…」


なぜ、太陽族は朝も夜も元気なんだろう。私は朝は大の苦手で低血圧で起きれないし、夜は静かに過ごしたいタイプだ。

くそ…元気な凛の声が今も寝ぼけている脳天に響く。声デカいし、うるさい(眠い…)


「おはよう…」


ニコニコ顔の凛をよそめにのろのろと靴から上履きに履き替えていると、私と同じように朝が苦手だとすぐに分かる低い声で水瀬さんが私達に挨拶をしてきた。

水瀬さんに初めて朝の挨拶をされて驚いたけど、朝のテンションはこれぐらいが丁度いい。


朝が強い人ってどんな体の構造をしているのと思うし、私の脳は全く起きてくれない。

ってか、太陽族でも朝が苦手な人がいるんだね。私にとって太陽族は凛が基準だから、やっぱり人それぞれなんだと知った。


「ねっむ…」


これでもかとテンションの低い水瀬さん。私も同じで、頭の中は眠たいの一色だ。


「ちーちゃん、しっかり歩かないと危ないよ。私が支えようか?」


「大丈夫…」


「うわぁ、ちょっと陽奈。引っ張らないで」


「何で今日は元気なんだよ。私と同じ、朝がめちゃくちゃ弱いくせに…」


水瀬さんの言葉に私の脳が反応し、少しだけ動き出す。凛も朝が苦手?

でも、私の横にいる凛は散歩に行きたくて仕方のない犬みたいに尻尾を振っている。


「頑張って6時に起きてランニングして、目を覚ましたの!今日もちーちゃんに会えるから嬉しくて」


凛の言葉に水瀬さんも私も呆れている。きっと、凛が大好きな人だったら喜んでいただろう。でも、私は眠たさで感情が死んでいる。


「佐倉さん、おはようー」


「水瀬さん、おはようー」


靴箱から教室までの間、何度この言葉を聞いただろう。みんな、朝からテンションが高すぎるし甲高い声のせいで耳が痛い。

それに、私は2人に挟まれているせいで居心地が悪く、視線が…居た堪れない。


あの子…誰?

何で2人に挟まれているの?

地味っ

眼鏡


私が勝手に想像してしまう周りの声が本当に言われているようで胸が苦しくなる。

流石に地味と眼鏡は言われてないと思うけど最初の2つは思われていそうだ。


バスケ部は運動部の中で特に周りから人気のある部活でキャーキャーと言われやすい。

大抵、少女漫画でもモテる子はバスケ部だ。スポーツ女子が人気なのは分かっていたけどここまでとは…声の圧が凄すぎる。


やっとだ、やっと教室に着いた。私はそそくさとドアに手を掛ける。

一応、2人に小さく手を振りドアを開けると後ろから凛が大きな声で「ちーちゃん、またね!」と言うからクラスメイト、廊下にいた人達の視線が私に集中する。


凛め…


朝からクラスメイトに注目されて最悪だ。私はコソコソと席に着き、鞄を横に掛けたあと項垂れるようにおでこを机に付けた。


「佐倉さん?」

「えっ、佐倉さんと知り合いなのかな?」


今度は勝手に想像した周りの声ではない。私と凛を見たクラスメイトの声で、私はシールドを貼り必死に殻に篭る。

私は聞こえない、聞いていない。それに嫌だ!凛との関係を聞かれ縁を繋いでほしいと言われでもしたら面倒だし絶対に拒否!


佐倉 凛

水瀬陽奈


凛のこと覚えてはなかったけど、クラスが違っても名前だけ知っていた。実は水瀬さんも…

それほど、知名度のある2人で人気がある。そんな2人が私と知り合いなんて…無理。


無理だって!属性も違うし、種族も違うし、だから闇属性・月族の私を見ないで。

私からは何も得られないし、凛と水瀬さんとお近づきになりたいなら自分で頑張って!


「千紘、おはようー」


「涼ちゃん…」


やっと、私のオアシスが来てくれた。でも、疲れで顔しか動かせない。


「テンション低いけど、どうしたの?」


「朝から疲れた…」


「もしかして、佐倉さん?」


「うん(+水瀬さん)」


頬を机の上に付け、涼ちゃんと会話をする。涼ちゃんは「大変だね」と瞬時に状況を理解してくれて頭を撫でてくれた。


「みんな…太陽族に憧れてるのかな」


「そうだね。憧れはあるかな」


「涼ちゃんは凛や水瀬さんと友達になりたい?」


「無理!何を話せばいいか分からないし」


だよね。凛はいいとして、私も水瀬さんと何を話せばいいのか分からないし、声を掛けられると緊張する。


「だから…千紘は羨ましい立ち位置にいる存在だよね。幼馴染って無敵じゃん」


「こら、しぃー。言わないで」


「何でよ…」


「凛との関係、バレたくないの」


慌てて口に人差し指を立て涼ちゃんに口止めをする。凛との関係がバレたら色んな人に中間業者のごとく使われる。


「あっ、佐藤さんー!」


誰にも邪魔をされず、邪魔をせず、隅っこで生きている私は根っからの月族だ。

そんな私に声を掛けるのは涼ちゃんだけ(凛を除く)だったのに…


はぁ?何で?


「数学の教科書、貸してくれる?忘れちゃって」


私を見つけるなり、ズカズカと自分のクラスとは違う教室に入ってきて私の前に佇む太陽族でバスケ部の水瀬陽奈。

よりによって、何で私の聞くの?友達なんて腐るほどいるよね?太陽族と接点があると思われたくなかったのに…


「どうぞ…」


「ありがとうー。助かったよ」


「いいえ」


「数学、一時限だから終わったらすぐに返すね」


「はい…」


私は水瀬さんのことを太陽族だけど影が薄い人だと思っていた。だけど、クラス中の視線を集める水瀬さんは立派な太陽族だ。光属性でキラキラと輝いている。


「じゃ、また後でね」


「あい…」


緊張と周りの視線で「はい」と答えたつもりが「あい」と言い、余計に恥ずかしい。緊張で、墓穴を掘ってしまった。

顔を手で隠したい衝動に駆られたけど必死に我慢をする。ここで、そんな行動を取ったら異常者であり、水瀬さんファンと思われる。


私の同志、涼ちゃん…お願いだから固まらないで。確かに涼ちゃんは私と同類だけど涼ちゃんにまで石化されたら私はこの状況をどうすればいいか分からない。


「涼ちゃん…」


「へぇ?あっ、ごめん…」


周りの視線が痛すぎる。お願いだから、そんなに視線の圧を送らないでほしい。

私と水瀬さんは友達でもないし、昨日知り合って、携帯の番号を交換しただけなんだ(断れるはずないじゃん!)

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