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私の嫌いな最頂点の幼馴染  作者: キノシタ
105/105

第105話

遊園地の醍醐味といえば絶叫系の乗り物である。ジェットコースターが大好きな私は手を上に上げ興奮とスリルを満喫した。

だけど、他のスリルを早く味わいたいけど、凜達を置いていくわけにはいかない。


遊園地に誘ったのは太陽族の凜達なのに、なぜか凜と水瀬さんは今にも倒れそうな顔をしながらぐったりとベンチに座っている。

太陽族は絶叫系の乗り物に強いイメージだったけど、人によるみたいだ。


「凜、大丈夫?」


「大丈夫…少し休憩したら動けるから」


こんなにも元気のない凜を見るのはいつぶりだろうか?顔がずっと青ざめているし、可哀そうなぐらい落ち込んでいる。


「凜ってさ、絶叫系苦手なの?」


「少しだけ…」


「めちゃくちゃ苦手なんだね」


「少しだけだよー」


「この意地っ張りめ」


凜は小さい頃から意地っ張りな部分あった。泣き虫なのに、男の子から意地悪されても私に助けを求めなかった。

だから、私がいつも目を光らせていたけど本当はもっと頼ってほしかったよ。


「凜」


「何?」


「もっと私に頼ってよ」


「えっ…」


「そんなに頼りない?」


「そんなことない!」


「じゃ、弱音を吐け」


「少し具合が悪いです…」


「じゃあ、飲み物買ってくるよ」


「違う!隣にいてほしい…」


「それだけでいいの?」


「うん」


凜に腕を掴まれたまま、私は凜の隣に座る。凜の顔色はまだ良くなっていないけど、さっきよりかは元気そうだ。


「凜の苦手なことって何?」


「えっ、何で?」


「凜の知らない部分が多いから知りたい」


「へへ。えっとね、ホラー映画が苦手で食べ物だとあんこと梅干でしょ、あとは…爬虫類が苦手かな」


「やっぱり、ホラー系は苦手なんだね」


「うん。だって、怖いもん」


「そうなんだ。凜と私ってさ、正反対だね」


「ちーちゃんのホラー耐性はおかしいよ」


「そんなことないよー。私はホラー映画はちゃんと物語を楽しんでいるし。ホラーの表現って確かにグロいものが多いけど物語をちゃんと見れば楽しめるよ」


「ちーちゃんらしい」


「呆れてるでしょー」


「ちょっとだけ」


「こらー」


私は凜の笑った顔が好きだ。やっといつもの凛の笑顔が見れて嬉しくなる。

だからこそ、無理をする凜が嫌だし、笑顔の凜とじゃれている時間が一番好きだからこそ楽しくて、、


「水瀬さん、涼ちゃん…顔が気持ち悪い」


さっきまでぐったりしていた水瀬さんと涼ちゃんがなぜかもの凄く気持ち悪い顔をし、思わず考える前に暴言が口から出る。

でも、言わずにはいられないほどのニヤニヤでこれは無意識の自己防衛だ。


「ひろー。酷いよー」


「そうだー。失礼だぞー」


そんなことを言われても悪意はなさそうだったけど、癪に障るニヤニヤで暴言を吐かずにはいられなかった。


「ちーちゃん、どうしたの?」


「2人の顔が最高に気持ち悪かった」


「えっ?こらー、ちーちゃんに気持ち悪い顔を見せないでー!」


凜のまさかの同調。凜はとことん私に甘く、優しすぎる。だから…


「凜」


「何?」


「ありがとう…」


「えっ…」


「ちょっと嬉しかったから…」


「へへ」


照れている凜を見ていると、私は少しだけ強気な月族になれる。どれだけ世界中から嫌われても凜だけは私を好きでいてくれる絶対的な自信があるからだ。


「時間が勿体ないからそろそろ行こうー」


私は凜の手を取り立ち上がる。せっかくの遊園地だし、みんなで沢山の思い出を共有したいし作りたかった。


「凜、早く行こうよ」


「あっ、うん」


立ったまま動かなかった凜が私に引っ張られてやっと動き出す。時折、凜はぼーっとする時があり、私が引っ張る立場になる。

凜と手を繋いだまま歩き、私は心の中で遊園地楽しいー!と密かに喜ぶ。


好きな人達とのお出掛けは【ぼっち】を体験しているからこそ喜びが体に染みる。隣を見ると笑顔の凜がいて、水瀬さんがいて、涼ちゃんがいて幸せだ。


「あっ、あれに乗りたい!」


「うん!乗ろう!」


私の発案にまた凜が同調し、水瀬さんも涼ちゃんも「いいね」と反応してくれる。

私の人生はずっと変わらないと思っていたけど人生って分からないね。


凜が帰ってきてくれたから私は今が一番最高に楽しいし、人生のMAXかもしれない。

凜に恋人が出来たら…こうやって一緒にいられないから。


「あっ…お化け屋敷にいた女の子」


えっ?ちょっと待って!凜に急に引っ張られ、水瀬さんと涼ちゃんに背中を押され私達は正反対の方向に歩き出す。


「みんな、どうしたの?」


「千紘は黙ってて。これ以上、青春満載の話をホラーにしたくないの」


「何それ…」


涼ちゃんが真顔で言ってくるから何も言えなくなり、仕方なく私は歩くしかなかった。でも、さっきの女の子が気になり振り向くと手を振ってくれた。


なんだよー。やっぱり生きている女の子じゃんと思いながら手を振る。今回も顔がよく見えなかったのは残念だけどね。





野村涼子「この子は…(ホラー好きは取り憑かれやすいのかな)」


水瀬陽奈「怖い、怖い、怖い…」


佐倉凜「ちーちゃんは私が守る!(でも、怖いよ…)」

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