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9話 何のクラブ?

「エレナは何かクラブに入るの?」


 マーガレットはエレナの動向が知りたくて聞いた。


「ええ、そうね、さっきもフェリス殿下に聞かれて考えてたんだけど、お料理クラブにしようと思ってるわ」


 初めての友人に質問されたのが嬉しくて、エレナはニッコリ微笑んで答えた。


「えっ?お料理⁉︎公爵家令嬢や王妃様になったりしたら、凄腕のシェフが作るんだろうから、お料理の腕を磨いても仕方なくない⁇」


 と、マーガレットは不思議そうに聞く。


「そうね。とりあえず女の子がたくさんいるっていうのがいいのと、お菓子なんかを作って、アーク様にプレゼントできたらいいなって思って。 

どうかな?手作りなんていらないかな?

どう思う?マーガレット?」


(こ、これは!推しカプの未来が私の回答にかかっている⁉︎)


「い、いいと思います!素敵です!とっても素敵!最高!」


 興奮して思わず敬語が戻ってしまうマーガレットに、エレナはクスクスと笑う。


「ふふっ、マーガレットがそう言ってくれるなら、それに決めるわ。マーガレットは何に入るの?」


 エレナは小首を傾げてマーガレットに聞いた。そんなことを聞いてもいい友人ができたんだと、内心感慨深かった。


「え?」


自分のことは何も考えていなかったマーガレットは、一瞬その質問に固まったが、


(私は…とにかく推しの近くにいよう!

それこそが私のクラブよ!)


と意気込むと、


「私も!私もお料理クラブです!そう思ってました!」


と言った。


「そうなの⁈じゃあ一緒ね!嬉しい!よろしくね、マーガレット」


と、エレナは手を出して握手を求めた。


マーガレットはその手を両手でガシッと握るとぶんぶん振って、よろしく、エレナ!と言った。


その様子を二人の王子は後ろからじっと見ていた。



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