表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/10

006

 アキラが剣を抜くと同時に、団員のみんなが馬の足を止めた。

 どうやら、国王が捕らえられている山小屋が見えたようだ。

 アキラにも確認できた。距離にして、100メートルくらいだろう。

 全員が馬を降りる。

 馬に乗ったままだと戦いづらいらしい。


 さっき、あっという間に5人を倒していたが、まだまだ敵の数は多い。周りは木や草がが生い茂っているので、敵がどこから来るのかわからない。

 ここは、慎重に...


「まずは、敵を炙り出す」

キーラは突然そう言うと、またしても手が黒い霧に覆われる。

 そこから、今度は蜂ではなく無数の蜘蛛が這い出てきた。


 うわっ!気持ちわるっ!

 見たこともない数の蜘蛛を見たアキラの率直な感想。

 蜘蛛たちは四方八方に散っていき、草や木の影へと消えていった。

 

 「うわぁぁあ!」

 たくさんの悲鳴が上がる。


 敵の男達がたまらずアキラ達の前に逃げるように出てきた。さっきの蜘蛛が敵の体にまとわりついている。

 女性団員がその隙に容赦なく矢を放ち、敵を仕留める。

 敵が悲鳴を上げてる間に、他の2人の団員達が山小屋に向かって走り出していた。


「俺達も小屋に向かうぞ」

 フレアにそう言われて、アキラも山小屋に向けて走る。

 山小屋まであと約50メートル。

 木の影から、敵が飛び出してきた。

 アキラに剣で斬りかかる。

 アキラはそれをギリギリのところで剣で受けた。

 危なかった。剣道やっててよかったーっとその時はマジで思った。

 アキラと敵が剣を交える。

 

 あれ、なんだ。なんだか、体が熱くなってきた。この剣をぶつけ合う感じ。なんだか、楽しい、楽しい、熱い、楽しい


 アキラが力いっぱい押すと敵は後ろによろける。

 その隙に、アキラは一歩踏み出し、剣を横にふる。

 その太刀筋が敵の首をとらえる。

 スッと剣が首を通り過ぎると、敵の頭が宙を舞う。


 それを見て、アキラに笑みが溢れる。


「くそぉー!」

 叫び声と共に4人同時に飛びかかってきた。


 前方から3人、アキラは地面と水平に剣を振った。3人はちょうど腰の高さあたりから上半身と下半身のふたつに分かれた。

 血飛沫が舞う。

 後方からもう1人。アキラに向けて剣を振り下ろそうとかまえながら飛びかかって来た。

 アキラは素早く相手の男の懐に入り、振り下ろす前に腕を捕まえる。

 「ひぃっ」

 相手の男はは恐怖のあまり顔がひきつる。

 アキラは捕まえた相手の右腕の肘から先をそのまま斬り落とした。

 「ぐわぁぁあ」

 男は斬り落とされた右腕を抑えながら地面を転がり暴れる。

 「ははっ、ほらっ返すよ」

 アキラは斬り落とした腕を男に投げつけた。

 アキラがとどめを刺そうと剣を振り上げる。


「おいっ!アキラ!落ち着け!しっかりしろ」

 フレアが、アキラの手に体当たりをして、その衝撃でアキラは剣を落とした。


 アキラが我に返る。


「はぁはぁはぁ、やってしまった」

 アキラは目を手で覆った。


「アキラ、お前、今のはなんだ?気が狂ったように人を斬りまくってだぞ」


「僕は、剣道をしてる時、竹刀をぶつけ合うと人が変わってしまうんです。体が熱くなって、人を叩きのめすのが楽しくて楽しくて、コントロールできなくなるんです。みんなからは鬼神なんて呼ばれて。本物の剣を握るとあんな事になるなんて」

 アキラは膝をついたまま立ちあがろうとしない。


「お前は斬られそうになったから、斬った。やらなければ、こちらがやられる。それだけの事だ。アキラの居た世界ではどうかは知らんが、ここはそういう世界だ」

 フレアが慰めにはならない言葉をかける。


「とにかく、アキラがそこそこ戦えると知って少し安心したよ。俺の屈強な体だったからこそ、できた芸当だと言うことを忘れるなよ。ほら、山小屋に向かうぞ」


 アキラは立ち上がると剣を拾い、再び山小屋に向けて走り出した。

 そこら中に死体が転がっている。僕より先に走って行った人達が斬り伏せたんだ。

 それに、キーラの放った蜘蛛に襲われて生き絶えたものいる。どうやら、あの蜘蛛は皮膚を食い破り体の中に侵入していく、かなり恐ろしいタイプのようだ。考えただけでゾッとする。


 山小屋まで辿り着くと、先を走っていた団員が今回の誘拐事件の首謀者らしき男の首元に剣を向けていた。


「違うんだ。俺らはここにいる人質の見張りを頼まれただけなんだ。国王だなんて知らなかった。大金をやるからって!それに、お前らが殺した連中もみんな雇われて集まった。仲間でもなんでもない」


 「雇われた?誰に?」


 「白い髪をした2人の男だ。全く同じ顔をしてた。たぶん、双子だ」

 

 双子の男?そいつらが誘拐の首謀者?


「こいつを捕らえろ。連れて帰って取り調べをする」とフレアの言葉をアキラが伝える。


 団員が小屋の奥にある部屋へと向かう。


「フレアさん。国王いましたよ。無事です」

どうやら、縛られてるわけでもなく部屋に監禁されていたらしい。


「全く、来るのが遅いのだよキミたち」

 国王が部屋から出てきた。


 へ?子ども??国王って子ども?勝手に立派な髭を生やした、イカツイおじさんをイメージしてたアキラは驚いた。


 国王は小言のようにぶつぶつと何か言っているが、あとから到着した女性の団員に、まぁまぁとなだめられている。


「ん?フレアさん見てください。もう1人いるぞ?」

 団員にそう言われて、奥の部屋の方へ歩み寄る。


 フレアが部屋を覗き込むと、部屋の端っこで膝を抱えて座っている少女の姿があった。


 


 


 

 










 



 

 


読んでいただきありがとうございます!


「面白い!続きが気になる」

と思っていただけた方は


下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎マークから作品への応援お願いします。5つ貰えると嬉しいですが、正直に感じた星の数だけで大丈夫です。


ブックマークもしてもらえると嬉しい限りです。


今後もよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ