001
剣道部の主将を務めるアキラは部活動の疲れからか、ベッドに横になると電池が切れたかとのように深い眠りに落ちた。
目が覚めると、そこは見覚えのない天井。
部屋の中を見渡すが、知らない部屋。
「あれ、夢か?」
「夢ではないぞ」
誰だ?声がする。
ふと左に目を向けると、そこには青い火の玉のようなものが浮かんでいた。
「どうやら目が覚めたようだな。君は一体どこから、グハァッ!!」
アキラは思わず青い火の玉を手で払い退けてしまった。火の玉が部屋の壁に激突する。
「あっ、何?火の玉が喋ってる?」
「いきなり一撃かましてくるとは、なかなか激しい挨拶だな。はっはっはっ」
ゆらゆらと火の玉が再びにアキラの方は近づいてくる。
「一体何が起きてるのかわからないって顔だな」
火の玉が言った。
「ここは、どこなんですか?え?これは夢?夢にしてはリアルすぎる」
アキラがそう答えると
「夢ではないぞ。そして、俺にも一体何が起こってるのわからん。そしてもうひとつ、それは俺の体だ」
火の玉がそう言うがアキラは一体何を言ってるのかわからなかった。
「そこに鏡がある。今の自分の姿を確認してみるといい」
アキラはベッドから立ち上がると壁際に置かれている鑑の前に立つ。
これは誰だ?赤い髪、赤い瞳、綺麗な顔立ちの男がそこに立ったいる。
「一体何が???」
「俺のわかっている事を話す。まず、俺はこの3日間、何者かの呪いによって寝たきりの状態になっていた。そして、ほんの数分前に俺は死んだのかわからんが、急にこの魂の姿になった。死んだのかと思って自分の体を見下ろしているところに、キミの魂がスッと入り込んで今の状況になったというわけだ」
火の玉がそう説明するが、アキラ全くその話を理解できなかった。
「いやいや、そんなこと言われてもわかんないよ。僕はただ自分の部屋でいつも通りに寝たはず。まさか、僕も死んだってこと?」
アキラは状況を把握できずに頭を抱えている。
「てゆーか火の玉の人!あんたなんでこの状況でそんな冷静なんだよ?」
アキラが火の玉に問いかける。
「俺の名前は火の玉じゃない。フレアだ。フレア・グラハム」
火の玉ことフレアは自己紹介をした。
「のんきに自己紹介してる場合じゃないよ!でもとりあえず、僕は不知火アキラ」
「そうか、アキラか。さてこの状況どうしたものか」
フレアがそう呟く。
「この状況の説明は私がしましょう」
どこからともなく声が聞こえる。
すると、壁をすり抜けるように黒いローブに全身を包んだ男が部屋に入ってきた。
「キミは?この状況の説明ができるのか?」
フレアがローブの男に言う。
「今度は何だよ?そして、フレアさん!得体の知れないものが壁をすり抜けた来たのに、あんた冷静すぎるって」
アキラが嘆く。
「まぁ落ち着け、アキラ君。この状況を説明するから」
ローブの男が両手を前に出し、アキラを制すように言った。
「この状況を説明するにはまず、この世界とアキラ君の居た世界について教える必要がある」
「この世界と僕の居た世界?どういうこと?」
「まぁ、率直に言うとだな、キミの居た世界は時間戻しの魔法を使った事により発生した偽りの世界だ」
ローブの男が軽い口調で言い放つ。
「はぁっ??」
そうだ!これは妙にリアルな夢の中なんだ。そう思ってほっぺをつねってみるが、痛みを感じた。
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