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遅めの青春、始めます。  作者: ざわざわ
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退屈な日常

(第1章、退屈な日常)


「アッ、イ、イクッッ」


剛は、今日も日課のオナニーに励んでいた。特別な趣味もない剛にとって、オナニーは至上の娯楽であり、エロ動画を探している時間は、財宝を探し求めているトレジャーハンターのような気分になっていた。剛はオカズ探しの時間も含めて、オナニーが大好きだった。

 

 手についた精子たちをティッシュで拭き終えて、ベッドで一人大の字になって寝ていた。剛は賢者タイムに入り、ある考え事をしていた。


 人は、いつ「死ぬ」のだろう。この世にいなくなった後、大切な人の記憶から消えて、忘れさられたとき?それとも心臓の動きが止まり、体が燃やされたとき?どちらも違う気がする。

 人が本当に「死ぬ」とき、それは人生に目標が見いだせなくなったとき。若しくは新しいチャレンジをすることなく、惰性で生きるようになったとき、人は「死ぬ」のかもしれないな。そういった意味では、俺はすでに「死んでいる」のかも知れない。惰性で生きてる人間はダセーよ、てか。ふっ俺もつまらないおやじギャグを言うようになっちまったな。賢者タイムはつまらないことを考えちゃうから嫌いだぜ。


 実際、今の剛には生きる目標や愛すべき人は何もなかった。

27歳で童貞、彼女もいない。一応、学生時代に彼女がいたことはあるが、性交渉をするほどの深い関係には発展できず、5か月ほどで別れてしまう。元々、内気な剛はそれからというもの彼女ができることはなかった。もちろん自分からアプローチすることもできず、童貞を卒業することのないまま27歳という年齢になってしまった。

 また、仕事も日々同じことの繰り返しで、飽き飽きしていた。大学卒業後、東証一部上場企業の貿易会社に勤めるも、不器用すぎる性分なために仕事でミスしてばかり。また、優しすぎる性格が故に雑用ばかり押し付けられ、断ることもできずに利用されてばかりいた。そんなこともあり、入社した企業を1年で退職し、今は派遣社員としてデータ入力の仕事をしている。もちろんこの仕事を馬鹿にしているわけではない。子育てをしながら派遣社員として働いているチームメンバーを見て、尊敬もしている。しかし、何も守るべきものがない剛にとっては非常に退屈な仕事だった。


子供のころに夢に見たパイロットや総理大臣、サッカー選手。壮大な自分を描けずに27歳にまでなってしまった剛。仕事は自己実現のために行うものと何かの本で読んだことがあるが、いつの間にか生活のために仕事をしていて、いつの間にか惰性で生きている。


何とかして、この状況を打開しないとな。


そう思いながら剛は27歳最後の日を終えようとしてしている。

 


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