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新型感染症の新たなファクターと人類

 ある国の大統領室に新たな報告書があがった。

 ここ数年世界で蔓延し終息が見通せない新型感染症の調査報告書。

 これまで発生国の調査やワクチンと新薬の開発を進めてきたが決定的な解決となっていない。

 BCGなどの結核ワクチンや風疹など他の感染症ワクチンが予防効果があるとされていたり、いや都会の空気の悪さが重症化の要因だとか言われていたが、どれも憶測にすぎず個人差がある検証でしかなかった。

 アルコールを毎晩のように飲んでいる国の市民に重症化が多いというある意味倫理道徳的な報告もあった。

 確かにイギリスのパブ文化、フランスのワイン、アメリカのビールやバーボンなどがやり玉に挙がり、それらの国は感染数が多いうえに死亡率も高い。

 それらを後押ししてパーティなどで乱痴気騒ぎで感染した人ほど重症化しているという事実がある。

 しかし毎日自宅にまっすぐ帰り酒を全く飲まない人々も亡くなっていることはどう説明するのか。


 ワクチンを2回接種しても感染し亡くなる。

 何度も感染してしまい、しかも後のほうが重症になるということはどうなのか。

 逆に未接種でも軽症な人々の多さも確かな結論を導き出す壁となっている。

 世界の医学者はこの新型感染症の仕組みを解明しようとしているが、次々と発見される変異株によって覆されることを繰り返してきている。

 感染数が多くなれば比例して変異が生まれるというイタチごっこの様相となっている。


 今回の報告書の内容はそれまでとは異なっていた。

 それは原子力発電所及び放射能機器を扱う研究所、企業が多い地方に感染者数が多いとなっている。

 それによると、放射線は微量で人体に無害な量の計算は健康体が新たな疾患を発生させないというだけ。

 しかし感染症などを悪化させる要因となっている可能性があるという。

 放射線は一定量を被ばくすると遺伝子に傷がつき、それが体内のあらゆる器官に障害を引き起こす。

 しかし無害な線量であっても長年浴び続ければ疾患はおきなくても免疫力が新型の感染症に対抗できないのはないかということらしい。

 

 世界中の原子力発電所がある地域や、そこからの大気が流れ込んでいる場所と感染者数を重ねると偶然にしては重なっている。

 同じ地域で重症化のバラつきがあるのは軽症者はその土地の滞在歴が浅いからだという。

 これが事実であったとしても対策は何もできない。

 電気エネルギーは人類にとって水や酸素と同じくらいの存在となっているからだ。

 電気がないと産業はおろか医療も壊滅してしまう。

 仮に原発を全て撤去するとしよう(実際は100年単位で廃炉になるが)そして火力発電にするための化石燃料は増産できないうえに発電所もすぐ増設できないので、電気に不自由する生活が10年以上になるだろう。

 医療設備は原始的なものとなり感染症に対応できない世界になる。

 いや全ての病気が治療できなくなっているに違いない。

 

 つまりどちらにせよこのまま人類は淘汰を見守ることになる。

 国は農業を主体とした自給自足国家になり、生き残るのは自国民をまかなえるところだけになる。

 我が国は産業が盛んだが大規模農業なのでエネルギーのないと生産量は激減するだろう。

 ただ感染症によって人口が減っているのであればどうにかなっているかもしれない。


 今回のパンデミックは人類の文明が栄えたゆえの必然だったのだろうか。

 ある高名な宇宙物理学者が言っていた。

 「文明が高度に発達した頃にはその文明が滅び、地球外の知的文明と接触はできないはず」

 

 地球が太陽系に生まれて数十億年。

 人類が生まれて数万年。

 文明は数千年前からだが、ここ200年で急激な発達をしてきた。

 しかも最近の10年の進歩は異常といってもいい。

 それは人類滅亡の前振りなのかもしれない。

 最近の人類は国家体制の試行錯誤を繰り返してきたが、どれも失敗に終わっている。

 資本主義も社会主義も幸福になるための試みだったが、文明が発達しすぎなければうまくいっていたかもしれない。

 人類が原点に戻るようになったにすぎない。

 地球の歴史上では初めてのことではないかもしれない。 

 数億年前にもあったとしても不思議じゃない。

 もっとSF的な空想をしている人がこう言っていた。

 「地球は銀河系の別の太陽系にいたが、そこの太陽が消えて惑星軌道を外れ宇宙を彷徨っていたところ現在の太陽系のちょうどいい軌道に入り新しい地球生物の歴史が始まった」


 人類が再び文明を復活する時の為に現在の我々は資料を残すべきなのではないだろうか。

 感染症に人類は勝てなかったが負けなかった証に。

 

 

 

 

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