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47.王城の中心で愛を叫べ

 俺は国王と戦闘を続ける。


 先ほどまでは国王からの一方的な攻撃をしのぐだけだったが、今は互角に渡り合っている。


 いや、互角かと言われると若干俺の方が劣勢ではある。


 流石に能力カンストレベルと比べると俺の動きは劣るのだ。それでも必死になればなんとか食らいつける。


 まさか、野球やってた事がこんな風に役に立つとはな。


 それでも、やはり国王はHPが高い上に、どれだけ攻撃してもなかなか減らない。


 能力では劣っているものの身体を動かす事に慣れている俺と、ステータスだけでゴリ押ししようとする国王。


 その違いがステータスの差を超え、奇跡的に拮抗した戦いを演出しているのだ。


 だがサクヤの方も優勢になったわけではない、絶望的な状況がやや劣勢になった、程度である。


 本来のサクヤは運動能力は高い、そして悪知恵も働く方である。だが学力はあまり高い方とは言えない。


 先程まで一流大学に首席合格間違いなしレベルの頭脳が、今や頑張れば三流大学に合格出来るかもしれないレベル。


 今の状況をひっくり返すような作戦を考えられるかと言われると、無理だ。


 もちろん頭の良かった時の俺はそれも見越して、俺に勝つための方法を俺の頭に残してくれている。


 しかも、俺の頭が作戦なんて分からないほどのバカになる事まで見越して、最低限の勝ち筋の動きだけを俺の残していきよった。


 今の俺では現状を打破する作戦など思いつかない。だからこそ俺の考えた行動を取るしかないのだ。


 まるで俺の意のままに動かされているようで癪だが……なんかおかしい事を言った気がするが、どうでもいいや。


 さて、俺に踊らされてみよう。


 作戦の最初の一つそれは……長時間互角に戦う、または優勢を保つ……


 おい俺、それが出来れば苦労はないわ!! ……くそう、やるしかないか!!



「はやく!! 早く行きましょう!!」


 エナは3人を今にも置いておきそうな勢いで走り出しそうになっている。


「エナさん、待ちなさい!! 貴女、どっちに行けば良いか分かるの?」


 王女にそう注意されエナは一人で突っ走りそうなのを辛うじて抑える。


「全く……何でただの女の子がこんな危険な事に首を突っ込もうとするのよ……」


 王女はエナがこれほどまで無鉄砲な女の子とは思わなかったのだ。


「……王女なのに、夜中に1人でお城に忍び込もうとしてた人が何か言ってる……」


 ブーメランである、とマナエが呟くのを聞き王女は反射的に目線を逸らす。


 ふと見える窓からは、日の光が昇ろうとしており空も白くなってきた。


 街の人間も間もなく起きてくる頃だろう。予想以上に長い時間がかかってしまったようだ。


 さて、さっさとサクヤを回収して逃げましょうか、と王女は思っていた。


 そんな軽い気持ちでいたからか、謁見の間に飛び込んだ瞬間にサクヤが叫んだ言葉には度肝を抜かれてしまった。



 国王とどれだけ長い間殴り合っただろうか。決して楽な戦いではなかったがなんとかチート頭脳を持っていた俺の考え通りに拮抗状態を保てていた。


 国王の表情は最初の余裕の表情から、ちょっと焦りが見え隠れするような状態にまでなっていた。


 そして、国王に余裕をなくすこと、これが最初のチェックポイントだった。


……理由は分からん。


 国王は息も絶え絶えに、俺に向かって問いかける。


「な、何故だ!! 貴様はチートステータスではなくなったはずだ……何故ここまでやれる!? 一体何が貴様を突き動かすのだ!!」


……よし、この言葉を待っていた、俺は俺の台本通りに返答をする。


「俺を送り出してくれた仲間のため、シンゴのため、そして、エナちゃんのため、俺は絶対に負けない!!」


「……エナ? ああ、あのおなごか。チート能力を持っていればあのおなご以上のおなごを選び放題だったろうに……何が貴様を突き動かすのだ?」


……おおう、俺すごいな。この流れが予想通りだ。さて、国王がこんな事を言った時に俺はどう動けばいいのだっけか……


「そんな事、わざわざ言わないと分からないのか?なら教えてやる」


 国王がこんなことを聞いてきたら……愛を叫べ!!


「俺がエナちゃんを好きだからだよ!! ああ、大好きだね!! 愛してるといってもいいね!! 愛するエナちゃんから愛の力さえもらえれば、俺は何時まででも戦える!!」


「え、ちょ、ちょっと、サクヤさん!!」


 ふとエナちゃんの声が聞こえたような気がして、俺が振り返ると……


「あ、あんたって……思ったより情熱的なのね……」


 顔を真っ赤にしてうつむいたエナちゃんと、顔が真っ赤にしながらもニヤニヤした表情の王女と、ちょっと冷たい目線を俺に向けてくるマナちゃんがそこに居た。


「ああ、やっと再会できたけど、やっぱりサクヤは性格変わらないね」


 そして、懐かしの親友がのほほんと笑っていた。

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